市議会かわらばん第64号(2004年12月)

イズミ出店反対陳情8件に  賛成陳情は3件

広島市に本社があるスーパー「イズミ」が米子市上福原に出店を計画している「ゆめタウン米子」に対して、9月議会には「協同組合米子総合卸センター」、「米子民主商工会」、「米子地区青果物商業協同組合」、「米子近代開発株式会社(通称 米子しんまち専門店街)の4団体から反対陳情が提出されていました。12月議会にはさらに、「米子市商店街連合会」、「米子商工会議所」、「商業活性化検討会議」、「協同組合米子専門大店」の4団体からも反対陳情が提出されました。

一方、12月議会には3つの賛成陳情も提出されました。開発予定地の福生西校区自治連合会と車尾校区自治連合会、「上福原地区活性化委員会」という地元で開発を進める団体からのものです。両自治連合会の陳情に対しては、地域住民に諮らずに役員が勝手にやったという訴えが、複数の方からわたしにもありました。自治連合会の名前をこのように利用することは問題です。

「上福原地区活性化委員会」の陳情には、賛成理由が大変詳しく書かれてあります。

要約すると、@倉吉、松江、岡山県北部、島根半島までの50万人商圏から消費者を呼び込むことができるので、地元商店街独自の魅力づくり等の自助努力により共存共栄は可能である。A広域商圏の中では出店地があえて米子市でなければならない必然性がないので、米子市の隣接自治体にでも出店という事態になれば、米子市の趨勢に大きな影響を及ぼす。B民間活力による300億円超のインフラ投資は地域経済の活性化になり、固定資産税・法人税・住民税等で毎年数億円の税収が発生する。また、1,800名超の雇用も生じる。C(イズミは)地元産品の仕入れ、地元テナントの優先入居、営業関連資材の地元調達などを計画している。地元特産物についても、独自の流通網により各店舗を通して他府県への販売も行う予定である。D農地の保全により景観環境を保持するというが、それは地主の犠牲の上に成り立つことであり、地主にとっては生活権に関わる大問題である。高齢化や後継者問題で、荒廃農地へと変わり果てるのは時間の問題である。Eこの区域の開発が認められない場合でも、新しく整備された県道沿いには都市計画法により日常利便施設はほぼ無条件に建築可能であり、計画性のない乱開発のおそれがある。というような内容です。

 一見もっともらしい理由が並んでいますが、本当にそうでしょうか。競争に勝つために大規模でなければならないというやり方は、博打のようなものです。もっと大きな集客施設が他にできて儲からなくなれば、県外企業は撤退するかもしれません。小判ザメ商法では共倒れになります。イズミの場合は借地方式なので、後には、農地に復元できない荒れ地だけが残ることになります。地場商業は衰退させられ、厖大な失業者の受け入れ先もなくなります。ゆめタウンの計画面積は53,000uであり、天満屋(20,900u)と高島屋(14,980u)と駅前サティ(16,193u)の合計に匹敵するので、既存のデパートも太刀打ちできなくて撤退するかもわかりません。米子のまちの重要な場所がゴーストタウンのようになれば、米子は完全に衰退してしまいます。

 また、300億円のインフラ投資という「バブル」は一時的なカンフル剤にしか過ぎません。地域の自立を図るためには、市民と地元産業が連携し、なるべくお金を地域で循環させるような経済政策が必要です。展望のない農業に見切りをつけて土地開発を行いたいという地権者の心情はわかりますが、イズミ進出受け入れは、かえって将来に禍根を残すことになると思います。退職後に農業をやりたいという市民も増えています。市街地に近いという利便性を活かして、市民農園への貸し出しなど、有効な利用を図れるのではないでしょうか。みなさまのご意見をお寄せください。

各個質問 「指定管理者制度について」

公共施設の委託先は公社や社会福祉協議会など市の外郭団体に限定されていましたが、法改正で、自治体から指定管理者の指定を受ければ、民間企業やボランティア団体などでも管理運営を行うことが可能になりました。また、2006年度からは今までのような委託という形式はなくなり、自治体の直接運営か、指定管理者に管理を行わせるか、施設ごとに決めることになりました。

米子市では現在、委託により管理を行っている施設が148施設(公会堂などの文化施設、市民球場などの体育施設、駅前地下駐車場や水鳥公園など)、直営により管理を行っている施設が138施設(公民館、地区体育館、保育所など)あります。

指定管理者制度導入については、財政再建のために自治体によるサービスを減らし、民間企業の仕事を増やすことが目的だという批判と、「お役所仕事」的な外郭団体に委託するより、NPOなどの市民団体が公共施設の管理を行うことができるようになるので評価できる、との2つの意見があります。

いずれにしても、指定管理者制度を市民協働の市政への転換、市民サービスの向上につながるようにしなければなりません。そこで、今議会は、この問題1本に絞って質問しました。

 指定管理者制度導入の目的

(質問)指定管理者制度を導入する場合の基本認識について尋ねる。

(市長)指定管理者制度導入の目的は、民間事業者のノウハウの活用により、多様化する住民ニーズに効果的、効率的に対応し、もって住民サービスの向上、経費の削減等を図ろうとするものである。公の施設が住民の福祉を増進する目的をもってその需要に供する施設である以上、住民サービスの向上を最優先すべきものと考えている。

指定管理者の公平な選定

(質問)指定管理者の選定は一般競争入札などの対象にならないので、透明性を図るためには、外部の選定委員会で審査し、その過程や内容を公開することが必要である。倉敷市は選定委員会を公認会計士、学識経験者、利用者代表等で構成し、選定結果も理由を付して公表している。

(総務部長)議員のご提言も重々踏まえて検討していきたい。

政治家の影響力排除を

(質問)和光市や豊島区は、議員、市長などが理事、監査役等になっている団体を指定管理者候補者として選定することはできないと、条例に規定している。政治的影響力を排除するために,米子市も見習うべき。

(市長)地方自治法上、指定管理者制度において兼業は禁止されていないが、その取り扱いについて、今後検討したい。

 市民団体等の優先選定

(質問)指定管理者制度は公募が原則だが、今治市では、「今治市民活動センター」の運営を市民協働型で進めるために、市民活動の活性化に資する市内の団体に限定して指定。施設によっては、指定をNPOに限るとか、専門性などの観点から公募せずに指定するなど、選定対象を限定している自治体もある。

(市長)公の施設の目的、性格によっては、指定管理者の候補者を特定の団体に限定する必要がある施設もあるかと考える。

情報公開と個人情報保護

(質問)指定管理者の情報公開制度および個人情報保護制度はどのようにする考えか。

(市長)施設の管理に関して保有する情報の開示に必要な措置を講ずるよう努めるべき旨を、米子市情報公開条例に定めることについて検討したい。個人情報保護条例において、個人情報を取り扱う業務を受託するものは、その業務の範囲内で個人情報の保護に関し、市の機関と同様の責務を負うこととされている。指定管理者も受託者と同様の責務を負わせることとしたい。

利用者や市民の苦情対応

(質問)利用者や市民の苦情処理対応機関として、苦情調整委員会のような機関を設置する必要があると考えるが、どうか。

(市長)苦情を含め、いかにして利用者や市民の声を吸い上げるか、その声にいかに対応するか、そのための手法については研究したい。

図書館は直営で

(質問)法で無料の原則が定められている図書館に、民間企業が参入する意味はなく、教育機関である図書館は指定管理者制度になじまないと考える。

(教育長)教育委員会としては、学校教育あるいは社会教育が一体となった教育活動を推進する上で、民間の独立性が強く求められる指定管理者制度に行政の関与が薄くなる可能性があるとすれば、適当ではないのではないかと考える。また、図書館には、これまで培ってきた地域の歴史や文化を蓄積し、責任を持って継承していく役割があると考えており、継続性の面からも現行の制度が好ましいと考えている。

中海
森山・大海崎両堤防開削を!

 昨年1222日、片山鳥取県知事と島根県の澄田知事が突然会談し、森山堤防の一部(数10b)を開削し、大海崎堤防は開削しない、と合意しました。

片山知事は合意の理由として、「国の厳しい財政のもとでなるべく早く決着をつけるため、現実的対応だ」と発言されていますが、知事合意の内容で水質や生態系の回復、治水不安の解消が図られるのか、根拠は全く示されていません。   

米子、境港の沿岸住民は、森山、大海崎の2つの堤防ができたことによっては、本庄水域を通って大根島を中心に反時計回りに入ってきた日本海からの潮流が消滅し、水質、生態系が影響を受けたこと、また、中海の水位が慢性的に上昇したことを身をもって体験しています。国営干拓淡水事業が中止になった以上、農水省の責任において後始末をするように求めて来ました。堤防の全面撤去ができないのならば、少なくとも、森山、大海崎の2つの堤防を200b開削するなどして、できるだけ以前の潮流を取り戻し、環境修復を図らねばなりません。

鳥取県も、今日まで住民や米子・境港市といっしょに、両堤防の開削を農水省や島根県に対して要求してきました。それなのに、地元自治体や住民に全く相談もなしに、知事が突然に政治決着をはかったことは、背信行為といわれても仕方がありません。「現場主義」「説明責任」を一番重要視してきた片山知事にあるまじき行為です。

米子市議会中海問題調査特別委員会としては、これからも両堤防の開削を求めていくことを、全会一致で確認しました。

大橋川改修議論の前に、堤防開削を!

 昨年末、国土交通省は大橋川改修計画を示し、両県自治体や住民などへの説明を開始しました。このたびの改修計画は、淡水化の中止、中浦水門撤去などの新たな状況に踏まえて作成したということで、これから1年半から2年かけて環境への影響評価を行い、事業に着手するということです。

 米子市議会にも改修計画を説明したいとの申し入れがありましたが、「本庄工区の堤防開削についての具体的な方針が確定されない限り、拡幅工事の実施については同意しない」という2001年に測量調査を認めたときの条件が満たされていない以上、工事着手に向けての手続きである計画説明を聞く必要はないということで、拒否することにしました。

中学校給食は今・

昨年7月に設置された「中学校給食問題調査会(会長・矢倉教育委員会事務局次長)」は、9月に約1,900人の中学生とその保護者、約250人の教員に中学校給食に対するアンケート調査を行い、その結果を1110日に公表しました。

それによると、中学生では@弁当がいい(163%)A弁当と給食の選択制がいい(229%)B給食がいい(221%)C現在のままでいい(375%)、保護者では@教育の一環として完全給食実施(434%)A学校給食で栄養改善(390%)B弁当は家庭の役割(92%)C牛乳給食だけ(84%)、教員では@完全給食実施(144%)A牛乳給食だけ(527%)B給食は不要(315%)、となっています。この結果を受けてマスコミは、生徒、教員は給食を望んでいないと報じています。

 中学校給食は1995年頃に実施することになっていましたが、O157の発生で小学校給食施設改善を先に行うことになり、それが済んでから中学校給食を実施するということで、十年以上延期されてきました。O157対策のめども立ち、2006年度以降に中学校給食を実施することになっているのに、あらためてこのようなアンケートを実施するねらいがわかりません。野坂市長はこれまで、すこやか弁当を中学校給食の代わりにするような発言を行い、議会の反発で撤回した前科があります。またもや、中学校給食を実施しないための資料づくりをしているのかと、疑いたくなります。

 12月議会での教育長答弁によると、「小学校給食施設改善後に中学校給食を実施することに変わりはない。実施方法はさまざまな観点から検討する。調査会は結論を出すのではなく資料をまとめる場であり、今年度中にまとめる。その上で検討会を立ち上げて検討してもらう」ということです。アンケートを分析すると、教員の否定的意見は現在の学校給食のあり方に対するものであり、単独調理方式やランチルームなどの望ましい給食を行うことによって、結果は大きく変わるものと思われます。10年前のように、市民が関心を高める必要があります。

天下り、やっと中止に

外郭団体事務局長等への退職市職員の再就職(いわゆる天下り)は、公平・公正な市政運営に反し、外郭団体と市とのなれ合い体質を生み、外郭団体職員のやる気を無くす悪しき制度です。天下り問題を最初に本会議で取り上げたのは、1996年の3月議会でした。それから10年にわたり、八幡議員と交互にかなりの回数この問題を本会議で取り上げ、1昨年の決算審査では議会として中止意見を提出するところにまで持っていくことができました。その結果、ついに(!)2005年度から天下りを廃止することが決定されたのです。

117日の議会への説明によると、@外郭団体職員で対応できると判断される場合は、外郭団体職員を登用する。Aそれ以外の場合、外郭団体の事務局長等の採用については、市OB職員の就任をやめ、原則、公募による試験制度を導入する。ということです。

対象になる外郭団体は、◇土地開発公社◇生活環境公社◇教育文化事業団◇公園協会◇福祉事業団◇米子福祉会◇米子駅前開発株式会社◇米子勤労総合福祉センター◇中海水鳥国際交流財団◇社会福祉協議会◇土地改良協会―の11団体です。

天下り中止を契機に、米子市職員の体質改善が進むことを期待したいと思います。