昨年から協議が進められていた米子市・淀江町の合併は、9月24日議会最終日に合併関連議案が可決され、いよいよ新しい米子市が誕生することになりました。
誰のための合併?
8月19日から米子市内27カ所で、新市まちづくり計画などについて住民説明会が開催されました。参加者は人口の1%もなく、参加した市民の感想は「よくわからない」。新市まちづくり計画案に対しても、「総花的でどこの都市でも適用可である」、「「合併は財政健全化につながるのか」など、議論不足、説明不足を指摘する意見が多く出されていました。
本会議でも、何人かの議員が説明不足を指摘し、合併期日を延ばしてでも市民の理解を得るための努力を続けるべきではないかと質問しました。市長は、「できるだけのことはやってきた」と繰り返すばかりで、説明責任に対する自覚は全く感じられませんでした。
淀江町では合併反対が多数
9月はじめに、淀江町の議員有志が全有権者対象に米子市との合併についてアンケート調査を行いました。有効回収率は47・5%で、合併賛成37・2%に対して、反対が59・7%もありました。
アンケート結果を見て、市長は淀江町民の理解が得られていると考えるかどうか質問しましたが、「今後淀江町がどう対応されるかは淀江町自身の問題なので、現時点では動向を見守りたい」という、合併協議会会長としての自覚を欠いた答弁でした。
なぜ3月31日合併なのか
交付税は、合併によって自治体が大きくなると、合併前の旧自治体の合計額より減額されます。しかし、合併促進のために、国は合併年度に続く10年間は合併前の旧自治体の交付税を保証する「合併算定替」の特例措置を実施しています。米子市と淀江町の場合は、年間約4億6千万円になります。優遇措置は合併年度に続く10年間なので、3月31日に合併すると10年間ですが、4月1日に合併すると実質的に11年間であり、わずか1日の違いで 4億6千万円も「損をする」ことになります。
この点について合併協議会で説明は行われていません。市長は「質問が無かったから説明しなかった」と、知らないほうが悪いのだと言わんばかりの答弁を行い、あげくの果ては、「三位一体改革で交付税はどうなるかわからない」と言い出す始末です。そんなことを言えば、交付税算定替の特例措置や合併特例債償還に対する交付税支援などの財政的メリットを強調して合併に突き進んできた根拠を、自ら否定することになります。なぜ3月31日の合併にこだわるのか、最後まで納得できる説明はありませんでした。
市長に合併調印と合併議案提案延期を申し入れ
合併調印(9月20日)前の14日に、議員有志8名で合併調印と合併議案提案延期を市長に申し入れました。理由は、住民に対する説明が不充分であること、淀江町では合併反対が強く理解が得られていないこと、合併期日についても納得できる説明がなされていないこと、などです。しかし、野坂市長は「市民の理解を得る努力をしてきた。合併期日は変更しない」の一点張りでした。
16日には、9名の議員連名で、合併協議会の場で改めて合併期日の違いによるメリットの比較検討を行うように求めましたが、これも無視されてしまいました。
最終日、合併関連議案に反対しました
このたびの合併は、住民の意思によるものでも、住民に十分説明し合意を得られたものでもありません。特に、合併後1年3ヶ月間、米子市・淀江町の全議員がそのまま新市の議員として引き続き在任するということについては、住民の強い批判があります。
また、淀江町の人たちは米子市に飲み込まれるのではないかという強い不安を感じておられます。
市町村合併は、目先の金の損得ではなく、将来にわたってお互いの住民の幸福につながるような丁寧な取り組みが必要です。私は、新市まちづくり計画や合併協定項目などについての住民による議論は、やっと出発点に立った段階だと考えています。合併期日を延ばしてあらためて議論を行うべきです。
以上のような理由を述べ、3月31日の合併や議員在任特例などの合併議案全てに反対しました。
市民主体で新しいまちを
納得のいかない合併ですが、来年3月31日には新しい米子市が誕生します。財政難だから合併しなければいけないと主張した人たちは、むだ遣いをしたことに対する反省もなく、新たな公共事業をさらに行おうとしています。
新しいまちづくりのために何よりも大切のことは、市民参加です。古い政治をやめさせ、淀江町の人たちと力を合わせて、市民主体で住みやすい地域をつくりましょう。
今議会では市長の官僚的?答弁が特別に目立ちました。多くの議員が合併問題について市長の見解を質問しましたが、「合併協議会で確認されたこと」の繰り返しで、自分の考えは一切述べようとしません。政策論争を行うために角度を変えて質問しても、同じ言葉をオウムのように繰り返すばかり。時間をかけて調べ、答弁を引き出すための準備をしても、「のれんに腕押し」ではやる気がなくなってしまいます。
個性やリーダーシップに欠ける市長に対して、応援した保守系議員からも「今の市長では米子市に活力が湧かない」とのぼやきが出はじめています。3月31日の合併後50日以内に市長選挙が行われます。野坂市長は再出馬を表明しましたが、巷では「誰か良い候補はいないのか」という声が挙がっています。
もちろん候補者が一番大事ですが、候補者出現を恋願うだけではなしに、市民でまちづくりのための政策をつくり、その政策を実現する市長を、市民の手でつくりたいですね。
広島市に本社があるスーパー「イズミ」が、米子市上福原地内の31fもの広大な農地を潰して複合型ショッピングセンター(売り場面積5万3千u)をつくるという計画が明らかになり、不安の声が広がっています。
地域経済に与える影響
最近、県外資本の大型店やコンビニ店の出店が相次いでいます。その影響で地元小売業
は潰れ、卸売業も大打撃を受けています。地元の卸売業者・製造業者からほとんど仕入れないからです。鳥取県商業統計調査速報によれば、米子市では卸売業は、平成14年は平成11年に比べて、従業者数が7・6%(474人)、年間商品販売額が30・5%(約1、238億円)も減になっています。小売業も、事業所数が4・6%(78事業所)、従業者数が4・9%(530人)、年間商品販売額が12・4%(約265億円)の減になっています。
県外資本によって、市民が使ったお金はほとんど持って行かれます。お金が環流しなければ、地域経済は疲弊するばかりです。これ以上、県外資本の大型店を増やすことは問題です。市長の見解を求めました。
「地元以外からの仕入れが増加する面はあると思うので、地元経済への影響は生じてく
るのではないかと思う」という危機感のない答弁でした。地域経済の状況について調査を行い、正確なデータを元に早急にシミュレーションを行うよう求めました。
まちづくりへの影響
計画地は、国道9号線と431号線を結ぶ細い道路が一本あるだけです。現在、計画地の中に都市計画道路を建設中ですが、建設するに当たっての想定交通量は、平成32年で1日あたり4,400台です。ジャスコは平日でも5〜6千台、休日は1万5千台、年末等は2万台の来車があるとのことです。ゆめタウンの売り場面積はジャスコの2倍強もあり、ゆめタウン来場車だけで想定交通量を超え、慢性的な大渋滞が予想されます。
また、計画地は、今年3月に策定した都市計画マスタープランで「当面の間農地を保全し、市民農園などの利用を検討する」地域と定めたばかりです。
道路政策やまちづくり計画上問題なので、開発許可を与えないように求めましたが、市長は「開発申請が出てから総合的に判断する」と答えるばかり。ここでも自らの考えは述べようとしませんでした。
昨年9月議会から毎回取り上げ、市議会かわらばんで報告してきた、医療法人有眞会による委託金不正受給問題の最近の動きです。前号でお知らせしたように、鳥取県監査委員会は、「準夜勤・夜勤職員の仕事内容は実態として待機業務であり、委託業務と全く関係のない仕事を兼務させていたので給与支払額は半分にすべきである」という画期的な勧告を行いました。半分返還の場合、額は約1,000万円になります。
しかし、県と市は「本来業務と他業務との割合は半々とまでは認められない」として、それぞれの業務の電話受付件数割合で按分し、わずか約35万円だけを有眞会から追加返還させて幕引きをしてしまいました。
住民監査請求を行った「米子市委託事業の不正受給をうやむやにさせない会」では、県と市の対応は納得できないとして公開質問状を提出するとともに、内閣総理大臣と厚生労働大臣に対して立ち入り調査を要請することを検討しています。
錦海団地の住宅用地24区画を、病院建設用地として社会福祉法「こうほうえん」に3億7,500万円で売却するという議案が、今議会に提案されました。9月6日に一般競争入札を行って決定したということですが、「こうほうえん」はすでに今年2月、錦海団地に病院を開設することを県の医療審議会に申請しており、8月8日の新聞広告で錦海団地病院開設にともなう求人募集を行っています。
最初から「こうほうえん」に売却することが約束されていたのではないか、競争入札は適正に行われたのか、という疑念が持たれてもしかたがありません。議案質疑で、用地売却に至る「こうほうえん」と米子市とのやりとりの経過等について詳しい説明を求めました。
「平成13年頃から購入したいという相談は受けていたが、医療審議会に申請したことは知らなかった」と、市は事前同意を与えてないという説明でしたが、「こうほうえん」が勝手にやったのなら厳重に抗議すべきでした。また、予定価格は3億7,491万円という説明がありましたが、驚くことに落札価格との違いはわずか9万円しかありません(落札率99・98%)。財産評価審議会で予定価格を決め、委員は守秘義務を果たしているとのことでしたが、スッキリしない説明でした。
7月の参議院選挙ではご協力をいただきありがとうございました。みどりの会議は残念ながら議席を得ることができませんでしたが、「環境政党を作ろう」「経済成長に依存しなくとも持続可能な社会をつくろう」という訴えに、90万人もの人が共感したことは大きな財産です。
私はこれまで国政選挙に主体的には取り組みませんでした。既成政党の政策に全面的に賛同できなかったし、市民運動とは違うやり方に違和感を抱いていたからです。しかし、みどりの会議は新しい政党の可能性を示しました。,
中村敦夫代表の政治団体「みどりの会議」は解散しましたが、みどりの政治を継続して訴えて環境政党を立ち上げるために、選挙を担った若い人を中心に「みどりのテーブル」(仮称)が発足しました。
参議院選挙を通して全国に形成されたネットワークが発展し、環境・平和・民主主義をキーワードとする新しい市民政党ができることを期待し、これからもできる限り関わりたいと思っています。