2004年3月議会報告

国営中海土地改良事業変更計画

中浦水門を使って水質浄化効果の検証を

中海干拓淡水化事業が中止になり、建設した干拓堤防や中浦水門等の取り扱いをどうするのか、淡水化に替わる農業水源をどうするのかが課題になっています。この対応方針を示す「国営中海土地改良事業変更計画」が2月25日に農水省から示され、6月7日に正式に両県知事に対して協議がありました。今後、両県は関係市町村と協議後に農水省に回答し、変更計画が決定されることになっています。

変更計画によれば中浦水門は「取りこわし」となっていますが、(財)宍道湖・中海汽水湖研究所が行った水質改善シミュレーションでは、堤防開削とともに中浦水門を操作することで中海の水質がかなり改善することが予測されています。米子市議会および鳥取県議会は、中浦水門を使ってこのシミュレーションを検証して欲しいという陳情を、全会一致で趣旨採択しています。検証もせずにこのまま取り壊しを認めれば、水質改善に有効とされる手だてをみすみす失うことになります。

県からの協議に対して、米子市として、取り壊しの前に中浦水門を使って水質改善効果を検証するように意見を述べることを市長に求めました。

堤防開削は、農水省の責任と費用負担で

変更計画では、森山堤防と大海崎堤防は、「道路法に基づき道路管理者(島根県)に譲与」となっています。しかし、開削工事が行われないまま島根県に譲与されてしまうと、費用の関係で開削が実施されないおそれがあります。これについても、堤防開削と橋梁建設を農水省の責任と費用負担で実施した上で譲与するよう意見を述べることを求めました。

署名へのご協力、ありがとうございました

堤防開削を求める緊急2万人署名は、皆様のご協力で短期間に3万人も集まり、3月31日に中央行動を行いました。最初に財務省、国土交通省、環境省を訪れ、「堤防を開削し、80億円も使って水門を撤去するという無駄遣いをやめて活用を検討すること」等を要請。続いて、自民、公明、民主、共産、社民各党、みどりの会議に要請して回りました。

最後に農水省に行きましたが、大臣は時間がとれないとのことで担当課長以下4名が対応、およそ1時間にわたって要請を行いました。『中海協議会を受けて開削問題は方針を決める。地域の人の実感を行政としても受け止める。誠心誠意努力する』(要旨)という回答でした。

その後皆様にお願いした国会請願署名も、短期間で3、700名近く集まり、17名の国会議員に紹介者になっていただいて提出しました。6月に終わった通常国会では残念ながら採択されませんでしたが、9月に予定されている臨時国会に再度提出する予定です。引き続き、ご協力をお願いします。

 

米子市・淀江町合併問題

市長は住民参画をどう進めようとしているのか?

合併協議会のワークショップで、(仮称)「地域センター」という新しい自治組織、住民参画のあり方が提案されています。25の「地域センター」に職員を配置し、住民参画を進める地域コーディネーターの役割を担わせるというものです。また、このたびの国会で制定された新市町村合併特例法や地方自治法改正法でも、合併特例区や地域自治区という新たな制度が提案されています。

これらについての市長の見解を聞きましたが、「提案は合併協議会の議論の中で勘案されていくと思う」「法改正に踏まえて協議会の中で検討されると思う」という答弁で、市長個人の考えは述べようとしませんでした。公約の第1番掲げた「市民参画」は、単なるスローガンだったのでしょうか。

合併特例債がないと合併はできないのか

米子・淀江が合併する場合、合併後10年間に行うハード事業を対象に174億5千万円の有利な起債事業が可能です。しかし、合併特例債というバラまきは、「国の財政悪化をさらに進める」との強い批判があります。市長は合併特例債がなければ、合併はあまり意味がないと考えているのか尋ねました。

 「合併特例債の活用は合併協議会で検討される。不要不急の事業実施につながるとは決して考えていない」との答弁でした。各地では、特例債でムダな公共事業が行われています。しっかりチェックをしたいと思います。

合併時期の延長も考慮すべき

2月に淀江町と米子市で開催された住民説明会では、住民から、「合併の効果がなにかわからない」「米子市の財政状況などの中身がわからない」などの声が出されました。住民説明会も不足しており、住民合意が十分得られたと判断できるまでは合併時期の延長も考えるよう市長に求めました。

市長答弁は、「住民合意と合併時期が連携しているとは考えていない。当初通り来年3月31日を目標に合併協議を進める」ということでした。

淀江町住民へも情報提供を

合併はこの地域の最重要課題なのに、米子・淀江の住民どうしがお互いの町の実態を知らないままに合併するというのは問題です。米子市のことについて淀江町民から説明会開催を要請されたときには、対応するように求めました。
市長も、「前向きに検討したい」ということでした。

紺屋町周辺市街地再開発事業の早期決着を

紺屋町周辺市街地再開発事業は1988年から計画され、16年の歳月が過ぎようとしているのに、一向に進展していません。再開発事業のめどが立たないために、この地域の下水道整備ができず、加茂川に生活排水が流れ込み、加茂川浄化や町並み整備、加茂川遊覧や下町ガイドなどの観光面でも大きなネックになっています。

これまでも見直しを求めて来ましたが、米子市は、「地元が再開発事業をやると言っている以上、やめろとは言えない」と逃げてきました。今回も、同じような答弁でした。この事業に米子市は、設計費用などで6,000万円支出しています。公金を投入しながら何故見直しを指導できないのか、不思議です。

計画地内地権者80人の内、約20人が再開発事業に反対しておられます。実際は、ほとんどの人が再開発事業は不可能だと思っておられるようです。事業は一部の人だけではできません。16年も経ったのだから、再度、市として住民アンケートなどを行い、住民の意向をまとめるように求めました。

 

2004年6月議会報告

「心の健康相談窓口事業」委託金不正受給問題

鳥取県監査委員が追加返還を勧告、米子市は「ゼロ」回答

医療法人有眞会が、平成14年度と15年度に委託を受けた「心の健康相談窓口運営事業」で、雇用創出特別交付金を不正受給していた問題については、昨年9月議会から毎回取り上げてきました。米子市はこれまでに、約2000万円を有眞会から返還させましたが、「公金をだまし取ろうとしたのに刑事責任を問わないのはおかしい」、「返還請求額が少ない」など、米子市の対応は、元職員や市民方々の納得を得られるものではありませんでした。

そこで今年2月に、私も含めて元職員や市民49名で鳥取県監査委員に対して監査請求を行い、鳥取県監査委員は請求の主張をおおむね認め、5月21日に知事に対して、「さらに返還すべき補助金の額が存在するので、県は、米子市に対して適正な給与支払額等の算出をやりなおさせ、返還すべき補助金の額を追加返還するよう指示すること」との勧告を行いました。

3点について再計算をして追加返還するように指示していますが、そのひとつは、「心の健康相談窓口業務の準夜勤・夜勤職員に対して、全く関係のない別の委託業務である在宅介護支援センターの仕事を行わせていたので、心の相談窓口業務からの給与支払額は半分にすべきである」というものです。

勧告のとおりに半分返還を求めると額はいくらになるのか尋ねたら、約1010万円ということでした。

勧告に従ってさらに返還請求を行うように求めましたが、市長は、「県と協議しながら調査をしている段階なので答えられない」と繰り返すばかりでした。

※6月17日、米子市は、「再調査したが、勧告が相当であると認定しうる証拠等を得ることができなかった」と県に回答しました。監査委員の勧告を無視した市の回答に対して、県がどう対応するのか、注目したいと思います。

 外部監査制度導入を提案

このたびの住民監査請求に対する監査は、外部監査人による個別外部監査として行われたものです。住民監査請求は、これまでほとんどが棄却され、住民から強く批判されてきました。米子市監査委員も、県と同様の住民監査請求を受けながら、原資料を一切調査することなく棄却し、請求人から強い批判を浴びたところです。

そのような経緯に踏まえ、外部の目による監査で予算執行の透明化を図ることにより住民の信頼を回復しようという意図で、1997年に地方自治法が改正され、外部監査制度が法制化されました。設置が義務づけられている都道府県や政令指定都市、中核市以外の自治体でも、条例により外部監査制度を導入することが可能であり、実施している自治体もいくつかあります。

米子市としても、このたびの経験に踏まえ、監査能力を高め、監査制度に対する市民の信頼を回復するために、専門家による外部監査制度を導入することを提案しました。残念ながら、市長は外部監査制度の意義を理解しようとしませんでした。

公益通報制度も提案 

このたびの事件に対しては、早い時点で、職員から米子市の担当者に対して内部告発が行われていました。しかし、すぐに対応がされなかったために不正が見逃され、告発された方々も解雇や嫌がらせなどの不利益を被りました。

東京都千代田区は公益通報条例を制定して、内部告発に対しては行政観察員(弁護士)が調査し、区長に対して報告し、善処されないときは公表・告発する権限を定めています。行政の自浄作用による透明で公正な区政運営を図ることが目的で、通報者も、区・公社職員、請負事業者の職員・役員・従業者および退職者まで広げています。このような制度があれば、今回の事件はもっと早く解決できたし、職員も不利益を被らずに済んだと考えます。

行政の透明性・公平性を確保する観点からも、公益を損なう不適切な業務の告発制度(公益通報制度)をつくるよう提案しました。

市長答弁は、「6月に法律ができたばかりなので、動向を見守りながら対応したい」というものでしたが、成立した公益通報者保護法は大変不十分なものであり、日本弁護士会なども、かえって内部告発を制限するおそれがあると批判しています。

 

住民基本台帳ネットワークシステム

選択制導入を求める

全国民に11桁の共通番号を付けることは、国民のプライバシーを侵害し、国民管理につながるとの強い批判の中、住民基本台帳ネットワークシステムは一昨年8月から稼働を始めました。日本弁護士連合会は住基ネットの廃止を勧告しており、住民の個人情報を保護することは自治体の責務であるとの立場で、いまなお住基ネット参加を拒否したり、接続を望まない住民の個人情報提供を行っていない自治体もあります。

そのような中、米子市は残念ながら全市民の個人情報を住基ネットに提供しました。このことは「自己情報コントロール権」を明らかにし、原則的にオンライン結合による個人情報の外部提供を禁止している米子市個人情報保護条例に違反していると、私を含む複数の市民が条例に基づいて自己情報の削除、提供中止を市長に求めました。   

しかし、市長がこれを棄却したので、異議申し立てを行い、市長はそれを米子市情報公開・個人情報保護審査会に諮問していましたが、審査会は棄却が適当という結論を下し、それを受けて、4月1日に市長があらためて棄却処分を下しました。

審査会の結論は残念ながら「棄却適当」でしたが、7名の委員のうち2名の委員が、住基ネットへの接続を停止すべきである、あるいは、自己情報の削除要求を受け入れるべきであるとの意見を述べ、審査会全体としても、住基ネットの問題点を指摘し、市長に選択制導入等を検討するよう要望しています。

自己情報コントロール権は憲法上の権利であると解する以上、市民は、本人確認情報非通知の諾否に係わる選択権を有するものと考える。従って、当該選択制導入の裁量権を有する市長は、今後、その導入に関して検討に務めるべきであると考えるので、その旨進言する」との審査会意見について、市長の見解と対応方針を質問しました。

 「市民全体の利益からすると選択制は必要ないと考える」との答弁でしたが、自己情報コントロール権を無視するような答弁を認めるわけにはなりません。答弁の問題点を指摘し、選択制を検討している他市の状況を調査することを約束させました。

住基ネットは税金のむだ遣い

住基ネットは、システム構築費が約400億円、年間維持費が約200億円という巨大プロジェクトです。米子市は、「住民サービスの向上」「行政改革」のためにも有意義な制度であるとして、住基ネットに参加し、住民基本台帳カード発行事務などを行っていますが、費用対効果はあるのでしょうか。

実績を聞いたところ、6月1日現在の住民基本台帳カードの発行枚数は287枚(人口比で0.2%)、住民票広域交付件数は129件ということです。また、これまで投じた経費は約1億200万円です。

総務省は住基カードの発行枚数を昨年8月には300万枚と見込んでいましたが、その後、84万枚に修正。人口比普及率はわずか0.7%であり、税金の無駄づかいとの批判が出ています。米子市は人口比普及率でそれより少ない数字です。住民票がどこからでも取れるので便利などと言っていますが、誰が考えても、129件のために1億円以上も使うのはむだ遣いです。

 
             
      議員ギイン報酬ホウシュウ会計カイケイ報告ホウコク(2004ネンガツ〜5ガツ
  オサム      イリ     ササ     
  前月ゼンゲツからの 369,755     議員ギイン共済キョウサイキン 319,800
  議員ギイン報酬ホウシュウ 2,450,000     所得税ショトクゼイ 107,380
   1〜3ガツ50万円マンエン 4ガツから47マン千円センエン     国保料コクホリョウ 214,210
  費用ヒヨウ弁償ベンショウトウ 29,000     中川ナカガワ生活費セイカツヒ 1,400,000
  カンパ 2,000         (28万円マンエン×5ヶゲツ
  合計ゴウケイ 2,850,755     通信費ツウシンヒ 143,235
          資料代シリョウダイ 53,550
          活動費カツドウヒ 443,508
        印刷費インサツヒ 77,700
      次月ジゲツ繰越金クリコシキン 91,372
      合計ゴウケイ 2,850,755

中川健作の活動日誌

4/ 4 映画「アイラブ・ピース」上映会
  6 地方分権合併等調査特別委員会傍聴
    美しい中海を守る住民会議
  9    第11回米子市淀江町合併協議会傍聴
 10  中海水産振興を考える講演会(松江)
 17 「長島と鳥取を結ぶ会」講演会
 18 委託金不正受給鳥取県外部監査委員意見陳述会
 19 島根原発裁判(松江地裁)
 20 旧加茂川寺町周辺まちなみ環境整備事業説明会
 22 美しい中海を守る住民会議
 23 産業経済委員会協議会傍聴
    義方小学校PTA歓送迎会
 25 Fネットゼミ(県内議員政策研究会)
 26 議員定数問題調査特別委員会傍聴
 27 ウラン残土訴訟(鳥取地裁)
 29 内町自治会総会
 30 美しい中海を守る住民会議

5/1 米子建築塾作品展
 6 第13回米子市淀江町合併協議会傍聴 
 8  NPO法人みもざの会発足記念DV防止法講演会
 9 旧加茂川寺町周辺まちづくりを進める会幹事会
10 地方分権合併等調査特別委員会傍聴
13 食の安全を考える講演会(岡山)
14 美しい中海を守る住民会議
16 中川達夫偲ぶ会
17 議会各会派連絡会
18 総務文教委員会協議会傍聴
19 加茂川を美しくする運動連絡協議会総会
  中海特別委員会協議会・民生環境委員会協議会
20 中海協議会第2回実務者会議傍聴
  議員定数問題調査特別委員会傍聴
21 義方校区環境をよくする会総会
22〜23 旧加茂川寺町周辺まちづくり意見交換会
24 美しい中海を守る住民会議
25 三鷹市行政視察(住民協働行政)
26〜27 環境自治体会議(長野県飯田市)
28 長野県小布施町行政視察(観光まちづくり)
29 「ケアタウン浅間温泉」視察(松本市)
30 公害から健康を守る会定例会

6/2 地方分権合併等調査特別委員会傍聴
 3 議会運営委員会・全員協議会
   議会改革検討協議会
 4 第15回米子市淀江町合併協議会傍聴
 5 「みどりの会議・鳥取」立ち上げ会(倉吉)
 7 議会各会派連絡会
 9 「みどりの会議・鳥取」立ち上げ記者会見(鳥取)
10〜25 6月定例市議会
12 「市町村議会の自立を考える」シンポ(鳥取)
19〜20 エコアジア2004
20 公害から健康を守る会例会
21 美しい中海を守る住民会議
25 中海宍道湖の環境修復を考える講演会(松江)
26 第16回米子市淀江町合併協議会傍聴
27 米子市政研究会会員総会
29 中海環境修復について副知事と意見交換会(鳥取)