12月議会報告


委託金不正受給問題 - 100条委員会を議員提案 

7月31日に米子市が委託した「こころの健康相談窓口事業」の不正受給が報道されてから、議会として民生環境委員会(私も委員)を8回開催して調査を行ってきました。たけのこ相談室の元職員や市の元担当課長にも参考人質問を行いました(有眞会理事長などにも出席を求めたが拒否)が、地方自治法第100条(※)の権限を持った委員会ではないので、調査は不十分なものにならざるを得ませんでした。

委員会として真相解明を司法にゆだねることの再検討を市長に求めましたが、議会としての真相究明責任を果たすために、最終日に私と共産党議員団(3人)で強制調査権を持った100条委員会設置を議員提案しました。しかし、採決の結果、8対23で否決されてしまいした。事件をうやむやにさせたい当局と、当局を擁護する議会。旧態依然としたあり方が見られました。

地方自治法第100条―議会の強制調査権を定めたもので、本会議で議決すれば、調査のために関係者の出頭、証言、記録の提出を求めることができ、正当な理由がなく拒否したら罰することもできる。

 

イラクへの自衛隊派兵中止を!反対陳情、1票差で否決  

今や完全にブッシュの「ポチ」になってしまった小泉首相によって、日本は誤った方向に導かれようとしています。イラク派兵は、日本が戦後初めて「戦地」に軍隊を派遣することであり、憲法違反であるばかりか、世界と日本の安全にも反する愚かな行為です。

今議会に、イラク派兵反対の意見書提出を求める陳情が4件提出されました。委員会では4対3で可決したのですが、本会議では一票差でひっくり返されてしまいました。私も含めて3人の議員が最終日に陳情採択を求めて賛成討論を行いましたが、反対討論者は1人だけで、大した議論もなく反対多数で否決されてしまいました。イラク派兵に賛成した議員の責任は重大です。

           

           採 決 に 対 す る 全 議 員 の 賛 否

               @100条委員会設置     Aイラク派兵反対陳情     

会派 氏名 @ A 会派 氏名 @ A 会派 氏名 @ A 会派 氏名 @ A
しんせい 足立 智恵 × × しんせい 室  良教 × × 新風 西村 和幸 × 共産党 岡村 英治
生田 薫 山形 周弘 × × 森  雅幹 佐々木康子
岡本 武士 × × 新風 伊藤ひろえ 吉岡 知巳 × 錦織 陽子
尾崎太光子 × × 岩崎 康朗 × × 渡辺 穣爾 × サンシャイン 中川 健作
門脇 威雄 × × 門脇 邦子 公明党 笠谷 悦子 × × 矢倉  強 ×
中本 実夫 × × 谷本  栄 × 原  紀子 × × 八幡 美博
藤尾 信之 × × 中田 利幸 × 安木 達哉 × × 一院クラブ ゙ 遠藤  通 ×
松井 義夫 × × 中村 昌哲 × × 安田  篤 × × 宮田  誠 × ×

 

 

このまま幕引きをしていいのかー 「こころの健康相談窓口事業」委託金不正受給問題

各個質問で再び取り上げる

何故刑事告訴をしないのか
前号で報告した医療法人有眞会による委託金不正受給問題に対しては、多くの方から徹底的に追及して欲しいという声が寄せられました。とりわけ市民の批判が強いのは、有眞会が全く働いたことのない人の名前を使って委託金をだまし取るなどしたのに、なぜ刑事責任を問わないのかと言うことです。

9月議会では、「当初からだまそうとする意思が明確でない限り犯罪は構成されない」との説明でしたが、その後複数の弁護士に見解を尋ねたところ、刑法第246条2項の詐欺罪に該当するという見解でした。第246条2項は、最初は騙す意思がなくても途中から嘘をついて経済的利益を得る犯罪です。

このことについてどのように検討したのか、質問しました。助役の答弁は、「詐欺罪は法人には適応されない。理事長が命じたとしても実行(事務処理)したのは事務長である。詐欺罪は重罪であるから事務長の罪まで問えない」というものです。理事長が実行させたのに何故詐欺罪で告訴しないのか、全く納得できません。

ずさんな決算報告のチェック 
米子市は消耗品費などの流用分として約85万円を返還させていますが、情報公開された決算報告関係書類をチェックしたところ、領収書は2割弱しか添付されておらず、請求書のみがほとんどでした。その中に、講演料を15万円づつ2回支払ったという有眞会作成書類がありましたが、元職員の方たちは職員対象の講演会や研修会などは開催されてないと言っています。 

助役は、「領収書がないものは、担当者が委託先に出向いて支払い証拠書類を確認している。研修会が開催されていることは業務日報で確認した」と答弁しましたが、返還額は不十分であると指摘されているのですから、証拠書類等をコピーして市民の疑問に答えられるようにすべきでしょう。また、研修会テーマは「企業について考える」「仕事をする心構えについて」というものであり、委託業務とは全く関係のないものです。有眞会理事長が社長を勤める別会社が委託金を流用して社員研修を行ったと、元職員の方たちは批判しています。

在宅介護支援センター事業委託も見直しを  
米子市は、「有眞会の姿勢は、法人として契約行為に対してあまりにも無知あるいは無責任である」として、こころの健康相談窓口事業の委託を9月19日に解除しました。しかし、適格性を問題にした有眞会に対して、その後も、在宅介護支援センター事業の委託は続けています。

当然この委託事業も見直すべきではないかと質問しましたが、「地区在住の高齢者との人間関係を断ち切ることになるので委託を続ける」という答弁でした。契約違反をした経営者の責任を問うこともなく、米子市の事業を委託し続けていいのでしょうか。 


住民監査請求を市の監査委員会が棄却 

米子市が有眞会に返還させた金額は不十分であるとして、流用額などすべての返還を求めて、10月31日に元職員など市民24名で米子市監査委員会に住民監査請求を行いました。証拠資料を提出して意見陳述も行いましたが、監査委員会は市の担当課長などから事情聴取を行ったのみで、有眞会に対する事情聴取も、帳票や記録文書の調査も全く行わないままに、12月25日に棄却しました。監査委員会としての責任放棄です。  

このまま幕引きすることは許せないと、今後は鳥取県に住民監査請求を行うことになりました。県の監査委員会に十分な監査を行ってもらうためにも、事件をうやむやにさせてはならないという世論が大切です。引き続き、関心をお寄せください。

 

 

皆生温泉カジノ構想を国が不許可。業者が断念 

後楽園ホテル跡地にルーレットなどができる「カジノ」をつくるために業者が特区申請をしていましたが、警察庁は「刑法で禁止する賭博罪との評価を受けるおそれがある」として認めませんでした。それを受けて、12月12日に業者から、計画を断念するとの報告が議長に対してありました。 

「カジノ」は皆生温泉の評価をますます下げるおそれがあり、断念されてよかったと思います。しかし、後楽園ホテルは建物が傷んで落下物の危険性が増しています。安全対策のために、行政としても早急な取り組みが求められています。

 

 

中海 - 堤防を開削して環境回復を

各個質問 開削に向けて市長の対応は? 

11月19日に開催された第5回中海協議会において、農水省は堤防開削をしても水質・治水面で効果がないとして堤防開削はしないという方針を表明しました。1981年に干拓堤防が完全に締め切られてから中海の汚濁が急速に進行し中海の水位が慢性的に高くなったことを、住民は肌で感じており、農水省の方針は絶対に容認できません。 

堤防開削の必要性と、農水省が開削をしないと表明したことに対して、あらためて市長の見解を質しました。  
「水質改善・治水上から堤防開削は必要であると考えている。農水省の案はとうてい納得できるものではない。開削実現に向けて、市議会・鳥取県・境港市と連携を取りながら、地元市長として機会ある毎に国にも積極的に働きかける」との市長答弁でした。 

鳥取県が堤防開削に向けて頑張ってくれているので、地元市長としてもっと市民に見えるように行動して欲しいと要望しました。

 

中海特別委員会 県議会、境港市議会と連携して行動することを確認 

9月議会の中海特別委員会で、境港市議会と相談して中四国農政局に対して堤防開削を働きかける方針を確認しました。しかし、その後開催された第5回中海協議会で、鳥取県が米子・境港の住民の意向を受けて農水省方針と真っ向から対決してくれたので、より成果を上げるために両市議会に加えて県議会とも連携して共同行動をとろうということを確認しました。 

状況を見ながら、中海特別委員会委員長として県議会や境港市議会と相談し、国などに堤防開削などを働きかけていきたいと考えています。

 

緊急2万人署名運動始まる  

住民団体の「美しい中海を守る住民会議」は、農水省に対して堤防開削などの自然再生の取り組みを迫るために、2万人緊急署名を開始することを決定しました。2000年10月に本庄工区干陸事業を、2002年12月に中海淡水化事業を中止させた住民運動の力を再度結集して、堤防開削などの環境回復策を農水省の責任において行わせましょう。署名集めへのご協力をお願いします。

 

 

「すこやか弁当」1月から全中学校で始まる - 中学校給食の先延ばしは許されない  

野坂市長は、中学校給食をすぐに実施するのは難しいとして、昨年10月から東山中学校と尚徳中学校で「すこやか弁当」を試行しました。教育委員会が弁当販売業者の登録を受け付け、学校長がその中から業者を選定し、生徒の注文数だけ業者が学校に配達し、学校が設置した冷蔵庫と温蔵庫に保管して生徒に渡す、というものです。献立は日替わり、一食400円程度、使い捨ての弁当箱は使用しない、献立は事前に教育委員会がチェックする、などの条件が課せられていますが、添加物や農薬などの安全性についての基準はありません。

 私も3回試食しましたが、業者によっては加工食材が多く使われ、3回とも野菜がほとんどないのが気になりました。ハンバーグ等揚げ物の時は注文が多いということです。試行した中学校はいずれも10月に比べて11月の注文数がかなり落ちてますが、米子市としては、具体的な支障が出ていないので1月から全中学校で実施するということです。 

中学校給食は前森田市長の時に実施することになっていましたが、小学校給食施設のO ―157対策が先ということで延期された経緯があります。小学校給食施設改善が済めば中学校給食に取りかかるというのが米子市の規定方針ですが、野坂市長は委員会でそれを否定するような発言をしました。

すなわち、「新しい政策需要が出てくれば中学校給食との政策的選択もあるので、すこやか弁当は緊急避難的なものとは違う」と、すこやか弁当が中学校給食の代わりであるかのようなことを言ったのです。 さすがに各委員が食い下がり、傍聴席の議員からも抗議の声が飛び交い、結局は「小学校給食施設改善が終わってから中学校給食をやる方針に変わりないが、どういう方法でやるか検討したい」と、発言を修正しました。

中学校給食を先延ばしさせないように、監視が必要です。

 

 

決算審査で市政の改善点を指摘 

9月議会で平成14年度決算審査特別委員会が設置され、私も委員になりました。12月までに現地調査を含めて11回の委員会を開催し、市政全般についてチェックしました。その中で、私は次の項目を重点的に取り上げ、議会としての改善提言の中に盛り込むことができました。

委託金、補助金の検査体制強化を
14年度は委託金が約74億7千万円(599件)、補助金が約11億6千万円(111件)支出されています。金額が多すぎると思われるものもあり、検査体制を強化することを求めました。

退職職員の天下り中止を求める
 14年度も外郭団体に8人、補助金交付団体に4人の退職職員が再就職しています。公平・公正な市政に反するので、見直しを求めました。

借地料の減額を求める
 市役所と隣接駐車場の借地料として、米子市は約1億3千5百万円支払っています。市役所周辺の民間借地料は現在かなり下がっており、米子市が払っている借地料は割高です。平成8年に借地借家法が改正され、付近の地代との不当な格差が生じた場合などは契約条件にかかわらず地代の減額を請求できることになりました。これに踏まえて減額交渉を行うように求めました。ちなみに、米子市の借地は全部で27件あり、14年度の借地料合計は約2億4千万円にもなります。

サティ前立体駐車場の有料化などを求める
 駐車場問題が米子市の財政上のネックになっています。一つは駅前地下駐車場です。毎年1億5千万円も収入不足で、維持管理費さえまかなえない状況です。その原因のひとつがサティ前の立体駐車場です。無料のため、鉄道を利用する人などは地下駐車場に停めずに立体駐車場を利用しています。この立体駐車場は米子市が購入したものですが、これも毎年約1億2千万円を20年間払わなければなりません。財政を考えたら、立体駐車場は有料化すべきです。

入札制度改善を  
14年度も、工事全般の平均落札率は98%を超えています。談合が行われていることは明白です。電子入札などで談合を防止するように求めました。

公金支出に対する意識改革を求める 旧加茂川河口の内町ポケットパークにベンチが3基設置されています(写真)。1基がなんと!45万円です。市民の金銭感覚から大変かけ離れたものです。公共事業を進めるに当たって、職員それぞれが自らの家計をやりくりすると同じ意識を持って倹約するように求めました。

紺屋町周辺の下水道整備を 
めどの立たない再開発事業を15年間も引きずり続けている影響で、市の中心部の下水道が整備されず、米子の顔である旧加茂川に生活排水が流れ込んでいます。再開発計画を早急に見直し、下水道整備を進めるように求めました。