2003年3月議会報告

各個質問

1月30日、森田市長は四月の市長選不出馬を表明しました。辞めていく市長に質問し ても意味がないという声がある中、新市長になってもすぐに対応が迫られる重要問題2点に絞って、取り上げました。

中浦水門利用による水質改善効果の検証を

2月13日に開催された「中海に関する協議会」(国と鳥取島根両県)の場で、中国四 国農政局は、中浦水門の取扱方針について3月中旬までに両県の意見をもらいたいと提案 しました。国は、淡水化を中止したのだから淡水化施設である中浦水門は撤去するという 考えであり、島根県も同調しています。

中海沿岸の住民は誰もが、干拓堤防ができてから水質が悪くなったので、堤防を開削し て昔のように日本海のきれいな水を入れて欲しいと願っています。しかし、堤防を開削し ただけでは昔のような流れは回復できないということが指摘されています。

以前は、大根島の北を回って中海に日本海の海水が流入していました。中浦水門のある 中浦水道は水深2〜3mの浅さでした。ところが、航路をつくるために10mの深さに掘っ たのです。そのために、せっかく堤防を開削しても、海水が中浦水門の方に入ってくるた めに以前のように大根島の北側を回らないというのです。

昔のように中浦水道を浅くすればいいのですが、莫大な金がかかるし、船も通れなくな ります。その代わりに、中浦水門を操作して水深2〜3mの状況を作り出せば、昔の流れ が取り戻せるし、船の航行もできるという調査結果が、(財)宍道湖・中海汽水湖研究所 から出されています。

中浦水門を撤去するためには60〜80億円かかるといわれています。莫大な金を投じ て造った水門を、水質浄化に果たす役割の検討や実証試験もせずに、さらに莫大な金をか けて壊すなどということは、大変もったいないことです。一端撤去してしまえば元に戻す ことはできません。十分な調査検討を行い、水門の果たす役割について堤防開削後に実証 試験などをしてから、水門の取り扱いについての結論を出すべきです。

市長も、「中浦水門の役割について十分国で調査検討するように、県を通じて依頼した い」という考えを表明しました。新市長にも全力で取り組むように求めたいと思います。

住基ネットはやはり見直しを

住民基本台帳ネットワークシステム(「住基ネット」)は、100を越える自治体議会や首 長の実施延期要望や、国民の不安の声を無視して、昨年8月5日に稼働を開始しました。

今年8月25日からは住民基本台帳カード発行など、本格稼働が予定されています。し かし、杉並区、国分寺市、福島県矢祭町、中野区、国立市が住民の個人情報保護に不安が あるとして参加をしておらず、横浜市は本人の選択にまかせ、84万人もの市民が参加 をしていません。

米子市は、住基ネットへの本人確認情報の提供は法律で義務付けられているから拒否で きないと言ってきました。しかし、昨年12月、日本弁護士連合会は、「市町村が住基ネ ットから離脱することは合法である」という意見書を発表しました。住民基本台帳法自体 が「情報漏洩などの防止のために必要な措置」を取ることを自治体に義務付けているのだ から、住民のプライバシー侵害を防ぐために敢えて住基ネットと接続しなくても合法であ るというものです。

今年2月に、長野県が住基ネットについて県内市町村の担当者聞き取り調査を行ったと ころ、「事務の効率化と費用の面でデメリットしか発生しない」、「国は何を守ってくれ るのか、何を保証してくれるのか不安である」、「本音で言えばやめたい」など、様々な 不安の声があることが判明したということです。森田市長も、100%安全とは言えないと議 会で発言しています。

コンピューターネットワークの恐さは、一瞬にして大量の情報が漏れ、元に戻すことが できないということです。市民の情報を守るためには、住基ネットから離脱する以外に方法はありません。この問題も、ひき続き議会で取り上げていきます。


米子市民は住基ネットへの参加を望んでいないことが判明

住基ネットに対する米子市民の意向を調査するために、電話帳から無作為抽出して1000 人の方にアンケートを送り、178人の方から回答をいただきました。

アンケートの結果、
◆ 「不安である」「大変不安である」の合計が56%に対して、「全く不安はない」「不 安はない」と答えた人は10%でした。

住基ネットについての考えを質問したところ、
◆「IT社会に向けて積極的に取り組むべき」が10%、「法律で定められたので従うべ き」が8%に対して、「個人情報保護法ができるまで稼働を見合わせるべき」が38%、 「住基ネットそのものに問題があるので見直すべき」が23%と、住基ネット稼働に反対 の声が多いことがわかりました。

また、今後の米子市の対処方法について質問したところ、
◆「住基ネットにこのまま参加を継続すべき」が14%だったのに対して、「住基ネット から離脱すべき」が22%、「横浜市のように選択制にすべき」が38%と、多くの市民 が米子市の対応に納得していないことも明かになりました。

米子市は、あらためて住基ネットに対する市民の意向を調査し、それに従って住基ネッ トへの対応方針を再検討すべきです。


NO WAR

米子市議会として意見書を提出

3月20日、世界中の戦争反対の声を無視してアメリカ軍はついにイラク攻撃を開始し ました。戦争によって、罪のないこどもたちや女性、一般市民が殺されようとしています 。戦争がいかに悲惨なものであるか、戦争によっては決して本当の平和はつくれないとい うことを、人間は20世紀に大きな代償を支払って学んだはずです。それなのに、何とい う愚かなことをするのでしょう。この度のイラク攻撃は、どんなに理由を付けようとも決 して許されない行為です。

アメリカのイラク攻撃に対して、小泉首相はいちはやく支持表明をしました。それまで も、日本は攻撃を認める国連決議採択のためにアメリカの手先となって動きました。「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄す る」と定めた日本国憲法を否定するものです。日本こそ、戦争を終わらせるための平和外交を先頭になって展開する立場にあるはずです。

20日はちょうど3月議会最終日だったので、急遽、「政府(国会)におかれては、イ ラク問題の平和的解決を求める国際世論に耳を傾け、国連憲章にのっとり、また、日本国 憲法の平和理念に基づき、イラク問題の平和的解決に向けて全力を尽くされるよう強く要 望する」という内容の意見書を議決して、政府と国会に送りました。

戦争を止めるのは、世界の市民の力

22日、生協クローヴァの呼びかけで市民デモが行われました。思い思いのプラカー ドやゼッケンなどで、50名余りの市民で戦争反対の意思表示をしました。私も周りの人に声を掛けて参加してきました。

戦争は結局は国益の衝突です。国家を越えた市民の力しか、最終的に戦争を無くするこ とはできないと思います。世界の市民があきらめることなく戦争反対の声を上げ続けるこ とが大切です。あなたの声を、ブッシュ大統領や小泉首相に届けましょう。

●ブッシュ大統領(Eメール) presidento@whitehouse.gov
●アメリカ大使館 TEL 03-3224-5000 FAX 03-3589-4235
●首相官邸 TEL 03-3581-0101 FAX 03-3581-3883


淀江町との合併協議会設置が決まったが・・・

3月議会に合併協議会設置について3議案が上程され、可決されました。一つは、淀江 町からの正式申し入れによるもの。残りの二つは境港市と会見町からのもので、二つとも 住民請求によるものです。境港市と会見町議会は否決したので、結局、米子市は淀江町と これから合併に向けての協議を進めることになりました

平成の大合併は「地方分権の受け皿」のためと言われていますが、本質は自治体の数を 3分の1にして地方に回す金を減らすためのものであることは明らかです。

合併して大きくなれば、@民意が反映されにくい Aきめ細かな行政サービスができに くい B市長、職員が住民から遠くなる、などマイナス面が大きくなることは避けられま せん。

だから、世界の状況を見ても、アメリカは人口2億人に対して自治体数は18、000以上 、フランスは人口5、000万人に対して35、000、ドイツは人口8、000万人に対して15、000な どと地方自治体は小さな単位で構成されています。それに対して、日本は1億2、000万人も 人口がありながら、自治体数はわずか3、000です。いまでも圧倒的に少ないのに、これ以上 減らすということは住民自治制度をますます弱めることになります。

また、長野県の田中知事は、現在の合併特例債は「最後のばらまきである」と言って批 判していますが、背に腹は替えられないとばかりに特例債を利用する合併市の姿は、自治 体のモラル崩壊ばかりか、一層重大な国家財政の破綻を招くことは火を見るよりも明らか です。

いま大切なことは、この理不尽な合併の渦に巻き込まれることなく冷静に地域の将来や 自治体のあり方を議論し、他市町村との協力関係を強め、それぞれの地域を大切にしなが ら地域全体の発展をはかることです。

合併協議会が設置されたとしても、何が何でも合併するというのではなく、住民参加に よる慎重な議論が必要です。