市議会かわらばん第53号

年頭のごあいさつ

21世紀の幕開けは残念な結果になりました。9月11日の同時多発テロとアフガンへの報復攻撃。どちらも罪のないひとびとが無残にも殺されました。日本も戦後初めて戦争に自衛隊を派遣し、平和憲法さえ危ぶまれる事態になってきました。
富めるものと貧しいものとの格差、地球環境の破壊による干魃と飢餓など、暴力と戦争の原因を解決しない限り、平和な世界は望めません。時には無力感さえ覚えますが、まだ21世紀は始まったばかり。人間の未来を信じて、これからも「平和・人権・環境」をテーマにねばり強く活動したいと思います。
今年もよろしくお願い申し上げます。


中川健作の12月議会各個質問より
(1)小学校給食、残念ながら自校調理方式は見送りに
米子市では、病原性大腸菌O−157対策として現在各小学校(9校)の給食施設を毎年2校ずつ改築しており、それが終了した平成16年には学校給食センター(16校に供給)を移転新築する計画になっていました。しかし、センター給食は、
1: 作りたてを食べることができない
2:大量調理のために加工 食品が多く使われる
3:調理員と生徒の触れ合いがない
4:きめこまかな給食指導ができない
5: 学校運営に即した時間的な対応などが難しい、
など様々な問題があります。この際学校給食センターの移転新築をやめて全校を自校調理方式にするように求めてきましたが、経費がかかることが問題だということで、経費の詳しい比較、各学校に給食施設の敷地が確保できるかなどを検討するという約束になっていました。検討結果を質問しました。

何種類かのケースを検討した結果、これまでに改築が済んだ5校以外の学校は、
1:弓浜方面の5校をまとめて河崎小学校に中規模給食センターを作る
2:南部方面の5校をまとめて尚徳小学校に中規模給食センターを作る
3: 残りの10校は移転新築する給食センターか ら供給する、
という案を決定したという答弁でした。

この案だと、今まで自校で調理していた学校もセンター給食に変わることになり、給食の質が後退します。敷地が狭い学校があるのでこの案がベストということですが、給食センターから供給されている小学校を全部回ってみたところ、工夫次第では調理場を作ることが可能な学校がほとんどでした。どうしても無理な学校だけ他の小学校やこれから作る中学校の調理場と親子調理方式にすれば、解決可能です。
結局のところ、教育委員会の案だと年間経費は4億5,500万円だが、全部を自校調理方式にすれば6億2,500万円かかるということで、お金の問題が一番大きい理由のようです。しかし、米子市の教育費は鳥取市や松江市に比べてもかなり少額です。教育にお金を使わないようでは将来の米子を担う人材は育ちません。今回の決定は大変残念です。

(2)環境基本条例は今年6月に策定予定。しかし、内容は不明
昨年3月にアメリカのブッシュ大統領が離脱を表明した地球温暖化防止のための京都議定書は、日本政府が今通常国会で批准する方針を固めたことにより、なんとかアメリカ抜きでも発効するメドがつきました。しかし、京都議定書で、日本は2008年から2012年までの温室効果ガス平均排出量を1990年に比べて6%削減する約束なのに、99年度までに逆に6.8%も増えています。温室効果ガス排出削減の対策は、「待ったなし」の状況です。
米子市も、地球環境保護のための取り組みを盛り込んだ環境基本条例を2000年度に、環境基本計画を2001年度に策定することになっていましたが遅れています。あらためて、策定予定を聞きました。また、全ての市の施策で環境を最優先することや、環境アセス制度、バイオや電磁波など新たな公害の防止策などを条例や計画に盛り込むように求めました。
条例は今年6月に、計画は条例制定後早急に策定する、条例の具体的内容についてはまだ言う段階にない、という答弁でした。しかし、内容について市民や議会が意見を言う場もないようでは条例や計画は形だけのものになってしまいます。検討過程を公開して市民の意見を反映させるように求め、約束させました。

(3)ペットボトル削減に逆行する収集回数増
決算審議の過程で市がペットボトルの収集回数を増やす考えであることがわかったので質問で取り上げました。ペットボトルは燃やせば有毒ガスが発生し、埋め立てても分解しません。また、地球温暖化やエネルギー消費などの面でリターナルビンや紙パックに比べてはるかに劣ります。リサイクルも確立していません。ポイ捨てで町も汚されています。近年ペットボトルの生産量は雪だるま式に増えています。後始末の費用を自治体が負担してくれるのでメーカーにとってはリターナルビンより儲かるからです。消費者も便利さに釣られて買っています。
市長は、家庭で保管に困っており、収集置場でも量が多いと道路に散乱して交通事故の原因になるから収集回数を増やすと言っています。しかし、回数を増やしたら確実に発生量が増え、さらに税金を投入しなければなりません。米子市は月に1回ペットボトルを収集していますが、そのために1年に3,200万円も税金を使っています。販売店で回収するように義務付ければ、市が貴重なお金を使ってまで回収する必要はなくなります。
ペットボトルは買わなくても生活できます。消費者も地球環境や資源保護、健康のことを考えて買わないようにすべきです。収集回数を増やすことの再考を求めましたが、残念ながら4月から実施されようとしています。

(4)アイドリングストップ条例を提案
地球環境保護のために、米子市は「アジェンダ21よなご」を策定しています。その中で、駐停車中の車のアイドリングストップを呼びかけています。しかし、相変わらずスーパーなどの駐車場で長い時間アイドリングしている車が多くみられます。アイドリングはCO2 排出の大きな原因であるだけではなく、資源のむだ遣いでもあります。
環境省によると、全国の車が1日に10分間アイドリングをやめるだけでガソリン消費が年間で34億リットル削減されます。全国でアイドリング禁止規定を持つ自治体は31あるということです。
米子市でも条例を制定し、駐車場設置者の責務を明確にするなどの実効性の上がる取り組みを提案しました。市民への啓発、事業者への協力依頼などを粘り強くすすめているので今のところ条例制定は考えていないということでしたが、そんなに悠長な取り組みでは地球温暖化は防止はできません。


動き出した市町村合併

国は財政効率を上げるために、市町村合併を進めて自治体数を3分の1に減らそうとしています。市町村合併は避けて通れないとして、全国で合併に向けた動きが始まっています。
森田市長もこの間、周辺市町村に合併を働きかけ、米子・境港両市で「米子市・境港市合併問題等調査研究会」を、県西部十四市町村で「西部地域振興協議会合併問題等研究会」を発足させ、合併のメリットとデメリット、行政や財政の変化予測などを検討してきました。昨年末にその報告書が発表され、それを受けて森田市長は12月議会で市町村合併に向けた次のようなスケジュールを発表しました。
*年明けから中学校区単位で合併の必要性について住民説明会を開催し、アンケート調査を行う。
*今年9月に合併協議会設置を議決し、合併に向けた作業を進める。
*2004年12月に合併の議決を行い、2005年4月から新しい市を誕生させる。
合併協議会とは、合併を行おうとする市町村の代表が参加し、新市の名前、市役所の位置、合併後の将来ビジョンなど合併に関するあらゆる事前協議を行うための法律に基づく機関です。
両報告書によると、合併のメリットとして真っ先にあげられているのが職員数の減少や公共施設の統廃合による経費削減です。職員数は、米子境港の合併で50人、14市町村の合併で550人削減できるとしています。また、「類似施設の二重投資を回避し、文化施設・スポーツ施設等の効率的配置が可能になる」と言っています。しかし、住民にとっては身近なところにある施設が減らされ、役所が遠くなり、サービスが低下することが当然予想されます。
また、報告書は、合併すれば2004年度から2018年度までの15年間に、米子境港両市では316億円、西部14市町村では1,237億円の新たな財源を確保できるとしています。合併特例債や特別交付税など、合併誘導のための優遇策で収入が増えるからです。この優遇策は2005年までに合併しないと受けられません。しかし、一時的な金で大規模事業が次々に行われ、将来は借金返済と施設の維持管理費でますます苦しくなるという事態も予想されます。現に不必要に大きな新庁舎を建てたり道路をつくったりして市民に批判されている合併先例地もあります。
報告書は、合併した場合のデメリットも一応書いています。例えば、「住民の声が行政に届きにくくなるのではないか」、「中心部だけが発展し周辺部が取り残されるのではないか」、「地域の個性がなくなるのではないか」、などです。そして、それぞれについてわずか3〜4行で対応策を書いています。しかし、情報公開をすすめ住民が意見を述べる機会を増やすなど、抽象的なことばかりです。
いったん合併すれば、後戻りはできません。優遇策という一時の金に目を奪われるのではなく、それぞれの自治体の住民がどのような選択をするのかが尊重されなければなりません。そのためには、将来悔やまないように住民一人一人が真剣に考えなければいけないし、2005年という期限にとらわれずに決める必要があります。
(「米子市・境港市合併問題等調査研究会報告書」および「鳥取県西部地域振興協議会合併問題等勉強会報告書」をご覧になりたい方は、ご連絡ください。)


審議会等への議員不参加の効果表れる

一昨年3月議会で、審議会等の委員に議員を任命しないように市長に求めました。審議会等は市長が政策をつくるための下部機関であり、議会は市長と対等な立場なのにこれに入ることはそもそもおかしなことです。また、審議会等に議員が参加して事前了解しているために、議案として出てきた時にほとんど審議もせずに議決してしまい、議会が形骸化する原因にもなっていました。市長も議員の任命は差し控えたいと答弁し、議会と当局で協議を重ね、昨年4月から審議会等への議員の参加をやめ、その分をなるべく市民の公募委員に振り分けるようになりました。
12月議会でその効果が具体的にみられました。ひとつは、第7次米子市総合計画の扱いです。これまでは提案された議会中に議決していましたが、この度は議長を除く全議員で特別委員会を設置し、継続審議にして閉会中に8回の分科会などを行って慎重に審議することになりました。これから10年間の米子市の方向性を決める重要議案なので、当然なことです。
もうひとつは、し尿料金の値上げを求める業者からの陳情です。これまではし尿料金審議会が値上げを認めたら自動的に議会が陳情を採択し、値上げが決まっていました。しかし、この度は、値上げをしなければならない根拠を示すデータが不十分だとして、継続審議にしました。
議会が、やっと少し議会らしくなってきました。


議場での日の丸掲揚に待った

12月議会の直前に、議長が議場に日の丸を掲揚したいと提案してきました。法律で国旗と定められ、国会でも掲揚することになったというのが主な理由です。しかし、「国旗・国歌法」は日の丸を国旗と、君が代を国歌と定義しただけであり、尊重義務を規定したものではありません。また、地方議会は国会の下部機関ではありません。国家の枠をも超えて国際交流をすすめていこうという時代に、日の丸を掲げて国家のもとに存在しているという意思を表わすかのごとき行為は、自らの存在を落としめることです。
さらに、日本の侵略戦争によって被害を受けた人々にとっては、日の丸は日本の侵略行為の最前線ではためく忌むべき旗でした。日本がこころから戦争犯罪を謝罪して償ってない中で、再び日の丸を見たときに被害者の心はさらに傷つけられことでしょう。日の丸を取り扱うときには、戦争犠牲者たちの記憶、植民地化され同化を強制された人々などの記憶に思いをはせる心づかいが必要です。
ぼく自身、日の丸に対しては忌まわしい思いしか持っておらず、議場で常に日の丸に向き合わなければならないことは大変な精神的苦痛です。以上のような内容を文章にして全議員に渡し、日の丸掲揚をやめるように働きかけました。新政会は積極的に賛成しましたが、あとの会派は反対あるいは時期早尚という意見で結果的に日の丸掲揚は見送られることになり、とりあえずホッとしています。


議員報酬会計報告(2001年10月〜12月)
 (収   入)                          
      前月からの繰り越し    196,856 
      議 員  報  酬  1.500,000
       (50万円×3カ月)      
     期 末 手 当      1,120,000 
    年 末 調 整         46,081 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−− 
      合    計         2,862,937
    
    
       (支   出) 
      議員共済掛金         170,600
      所  得  税       178,988
      国  保  料       147,000
      慶弔会費(議会)        3.000
      中 川 生活費      1,400,000
      (28万円×3カ月、一時金2カ月分)      
      通  信  費       131,700
      資  料  代        43,716
      活  動  費       252,710
      印  刷  費        64.050
      次月繰り越し         471,173
     −−−−−−−−−−−−−−−−−−   
      合   計         2,862,937

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