市議会かわらばん第52号(2001年11月)

中川健作の9月議会各個質問より

1.鳥取県西部地震一周年にあたって
 
(1)きめこまかな復興支援を求めました
 鳥取県西部地震では、米子市でも家屋の全壊101棟、半壊1、074棟、一部損壊4、820棟など多数の被害が発生しました。県と関係市町村は、建替300万円、補修150万円など全国に例のない復興補助制度を創設して被災者支援に取り組んできましたが、住宅補修の申請期限は10月5日なのに、まだ申請されていない方が多数おられます。実態を質問しました。8月31日現在で住宅建替申請99件(完了36件)、住宅補修申請2,266件(完了1,608件)、石垣補修申請77件(完了51件)ということです。申請書は4,012件配布してあるので、まだ1,570件の申請が出ていないことになります。忘れていたり、手続きが繁雑なために困っている方などもあると思われます。せっかくの制度が心ならずも利用されないということがないようにきめこまかな対応を求めました。「8月末に1,300人にお知らせ文書を発送した。相談窓口で丁寧に対応する」という答弁でした。

(2)旧加茂川沿い土蔵群はぜひ 守りたい
 昨年十二月議会で旧加茂川周辺の歴史的建造物や土蔵群が地震被害で失われる恐れがあることを訴え、景観形成・観光振興などの面から保全を求めました。その結果、土蔵の外観修繕に対して150万円を限度に3分の2を補助するという制度がつくられました。補助対象数は11ありますが、土蔵補修は金がかかり100万円の補助金ではとても足りない、居住家屋と違ってあえて補修しなくても生活に差し障りがないので補修しないという話も聞きます。旧加茂川沿いの土蔵群が欠けることは米子市にとって大きな損失です。米子市の財産として、できるだけ全て保全するための取り組みを求めました。「何とか補修してもらうように精力的にお願いしたい」ということでした。

(3)進んでいない小・中学校など公共施設の耐震改修
 先日、NHKの全国ニュースで小・中学校の耐震改修の問題が特集され、耐震改修の遅れている自治体の代表として米子市が取り上げられました。何人かの市民の方から、「恥ずかしかった」「米子市は子供たちの安全をどう考えているのか」などの苦言が寄せられました。
 公共施設の耐震調査と改修事業は1995年の阪神大震災を期に計画され、当初計画では1995年から5ケ年で調査を終了し、順次改修を進める予定でした。現在までの進捗状況と、遅れた原因、今後の実施計画について尋ねました。
 耐震調査の必要な公共施設54施設のうち調査が終了したのは34。その中で、梁にも損傷が出るおそれがあり緊急に改修しなければならないものが11施設、部分的に亀裂が入るおそれがあり改修しなければならないものは14施設ということでした。しかし、緊急性のあるもののうち、福生西小学校と山陰歴史館の2つだけが改修計画を策定している状況で、ほとんど進んでいません。調査自体もまだ20施設も残っています。
 「調査はなるべく早く進むように努力したい。改修は財政状況を考えながら必要性の高いものから実施する」ということでした。島根県東部を震源とする地震発生の危険性も指摘されています。鳥取県西部地震を経験したばかりなのに、余りにも危機感の薄い対応と言わざるを得ません。

2.実効性のある原発防災計画策定を

 原発のない県としては兵庫県に続いて、鳥取県も地域防災計画に原子力災害編を盛り込む作業を進めています。しかし、案を見ると内容が大変おそまつです。例えば「島根原発では人体に影響が及ぶような事故は想定されない」としていますが、そんなことを保証できるのでしょうか。米子市も県と協議しながら原発防災計画を策定する方針ですが、本当に住民の安全を守るために役に立つものでなければなりません。そこで、計画策定にあたって重要な点について質問しました。一つめは、事故想定についてです。防災計画はあらゆる事態を想定してないといざという時に間に合いません。人体に影響が及ぶような事故も想定して策定するように求めました。 二つめは、住民避難などの基準についてです。県の案では、避難基準や対策本部の設置基準などを国の基準どおりに設定しています。国の基準は甘く、他府県では住民の被曝をできるだけ少なくするために独自に基準を下げているところも多くあります。基準をできるだけ下げるように求めました。三つめは、核燃料輸送事故対策についてです。県の案では全く対処が考えられていませんが、火災・爆発事故が起こる可能性はあります。住民避難などの対策を盛り込むように求めました。 核燃料輸送事故対策については盛り込むように県に求めている、いざという時のことを考えるように県に申し入れたいということでしたが、残念ながら、全体的には県の案に従わざるを得ないという答弁でした。

3.大橋川拡幅に替わる案の検討をなぜ求めないのか?

 いま問題になっている大橋川拡幅事業は、斐伊川治水事業の一環として25年以上も前に立てられた計画です。当時と比べて治水に対する考え方や技術は大きく変わってきています。昨年暮れに建設省(当時)河川審議会は、これまでのようにダムや堤防で洪水を押さえ込むのではなしに、遊水池などで洪水を安全にあふれさせる治水への方針転換を提言しました。世界もそのような治水方法に変わりつつあります。
 国土交通省は大橋川拡幅事業の環境アセスをこれから3年間かけて行う予定ですが、大橋川拡幅以外の治水方法も調査し、どの案が一番良いのかを住民といっしょに比較検討すべきです。環境省も、環境アセスは代替案の検討が必要と言っています。
 市として代替案の検討を求めることについて市長の見解をたずねましたが、専門家がいろいろ考えて拡幅を決めたと思う、現計画が最も合理的計画と聞いているという答弁に終始しました。中海干拓には市民の先頭に立って反対した市長が、大橋川拡幅問題になると国・県まかせになるのが不思議です。

二つの重要な意見書を提案し議決されました

米国同時多発テロに関して

 議会中の9月11日にあの痛ましいテロ事件が発生しました。無差別テロは絶対に許せません。しかし、軍事的報復は一般人も含めて新たな犠牲とより強い憎しみを生むだけです。原因を取り除かない限りテロをなくすことは不可能です。しかし残念ながら、事件の衝撃が余りに強烈だったこともあり、世界中が冷静さを失ってアメリカの軍事行動支持を表明しました。
 ちょうど開催中の全国の地方議会でも、世界各国と連携してテロ撲滅に向けて断固として対処するというような内容の決議が相次ぎました。このような内容では、アメリカの軍事行動とそれを支援する小泉内閣の方針を支持するようなものです。米子市議会でも、議長が各議会と同じような内容の意見書案を提示してきました。
 そこで、「軍事的報復は暴力的報復の悪循環をもたらすだけである。テロが生み出される背景である貧困や差別、異文化の対立を無くすための地球規模での取り組みこそが大切である。政府・国会におかれては、米国に対して慎重な対応を求めるとともに、今後、軍縮、南北格差の是正、異民族・文明の和解、社会正義の実現に向けて、国際社会で強力なリーダーシップを発揮し、平和的手段によるテロのない世界実現に向けて一層の努力をされるよう強く要請する」という内容の対案をつくって提出しました。全会一致で可決され政府と国会に送られましたが、全国的にみても良い意見書であったと思います。

在日外国人の人権尊重と外国人登録法の運用見直しを求める

 今年4月以後、公安調査庁が全国の自治体に在日韓国・朝鮮人の外国人登録原票の写しを破壊活動防止法に基づいて請求し、各自治体がこれを交付するという重大な人権侵害事件が相次ぎました。米子市にも請求があり8名分の写しが交付されていました。市長は在日韓国・朝鮮人団体の抗議に対して配慮が不足していたと謝罪し、法の改善を国に要望すると約束しました。
 そこで議会としても意見書を国に出すべきだと提案し、「破壊活動防止法は『日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならない』とうたっており、これは在日外国人にも当然適応されるものである。各自治体が登録原票を交付した背景には外国人登録法の運用上の問題がある。在日外国人の人権が不当に制限されることのないよう目的及び請求理由の明確化、顔写真、署名等の開示制限などの運用見直しを強く求める」という文案を作成しました。一部保守会派は治安維持のために必要であるとして反対しましたが、賛成多数で可決し、これも政府と国会に提出しました。

行政視察の報告

年に三〜四回公費で各地の視察に行かせてもらっています。十月に訪れた三市はいずれも大変参考になったので報告します。

横須賀市(十月九日)米軍横須賀基地から空母キティホークが出動し、前日からアフガニスタンへの空爆が開始されたばかりという緊迫した状況の中での訪問になりました。
(議員政治倫理条例)
 今年4月から施行。大きな特徴は@議員は市が行う契約に関し、特定企業等のために有利な取り計らいをしない。A市職員の採用、昇任又は人事異動に関与しない。Bその地位を利用して金品を授受しない。などの倫理基準を具体的に明記していることです。また、市民はひとりでも違反行為について調査を請求できるとしたことも特徴です。
 米子市でも、議員が職員採用の口ききをしたとか、特定企業に便宜を図っているなどのうわさが絶えません。市長や職員も含めて、このような条例が必要だと思います。
入札制度)
 談合がなければ公共事業は2割以上安くなると言われています。横須賀市では指名制度をやめ、業者が顔を会わせないように現場説明会も廃止するなどの改善をした結果、それまで95%以上の落札率だったものが現在では85%くらいまで下がり、42億円近く効果があったということです。米子市も直ちに改善すべきです。
厚木市(十月十日)
(学校給食)
 Oー157による食中毒発生後、安全な給食の提供とより教育的効果を図るために、小学校給食を共同調理方式から単独校方式に移行させることを決め、毎年2校ずつ計23校の整備が進められています。経費は自校方式のほうがかかるが衛生優先というトップの考えで進めている、敷地が狭く調理場建設がむずかしい学校もあるがグランドを狭くしたり、プールや体育館との高度利用などで何とか解決したいとのことでした。
 4月に完成したばかりの小学校で給食を御馳走になり、子供たちや先生にも感想を聞いてみましたが、共同調理方式に比べ断然おいしいという声が返ってきました。
 米子市も3年先に給食センターを移転新築するのか、単独校調理方式に移行するのかの判断を下す時期にきています。単独校方式を実現したいものです。
上尾市(十月十一日)
(市町村合併住民投票)
 今年5月に誕生した「さいたま市」と合併することの可否を問う住民投票が7月に実施されました。住民の直接請求によるものでは全国で初めてです。投票の結果は58%の住民が合併に反対し、投票結果を受けて市長が合併協議の辞退を「さいたま市」に申し入れました。市民に投票への参加を求めるために180回、延べ1万人を対象に地区説明会を開催したとのことでした。市が説明会などで配布した資料や、賛成・反対それぞれの住民が作成した資料などをもらいました。
 米子市も合併に向けて動き出していますが市民の関心は今ひとつです。というよりも判断材料がなくて困っていると言ったほうが正しいでしょう。最後は一人一人の投票で決めるということになれば市民もいっしょうけんめい情報を求め、いやおうなしに関心を持たざるを得なくなるでしょう。住民投票はぜひ実施する必要があると思いました。

質問コーナー

=中国電力米子営業所の敷地にも変電所が建設されますが、安全なのでしょうか。高圧送電線が地下を通って変電所に入るとのことですが、電磁波の害はどうでしょうか。

=中国電力に聞きに行きました。
──新変電所は来年には米子市中心部の送電能力が不足するために建設する。送電線は11万ボルトで、大谷町の米子変電所からビッグシップまでは架空線、そこから変電所までは地中線。地中線の工事は1993年から開始しており、来年5月には変電所を運用開始する。地元加茂町1・2丁目自治会には一昨年9月に説明会を行った。地中化工事に合わせて各地元でも説明会を開催した── 
 問題の電磁波(界)は、変圧機を2基設置した場合(当面は1基)に変電所そばの歩道で30ミリガウス、また、地中線(車道の下で深さ1・7m)の真上で10ミリガウスを想定しているとのことでした。中国電力はパンフレットなどで、送電線から発生する磁界は200ミリガウス以下であり安全と宣伝しています。これはとんでもないウソです。スウェーデンでは40万人以上の疫学調査を行い、3ミリガウス以上浴びた子供は白血病に3・8倍の率で罹患するという結果が出ています。今年になってからも、イギリス国立放射線防護委員会が高圧線の近くに住む子供の白血病の危険性が増加することを認め、国際がん研究機関が4ミリガウス以上の磁場で小児白血病のリスクがおよそ2倍になるとの公式見解を発表しています。
 危険性を少なくするためには、送電線や変電所は人家の近くにつくらないというのが世界の常識になりつつあります。電磁波は安全であるとして、何らの回避策も取ろうとしない日本政府や電力会社の態度は問題です。ただ、磁界の強さは距離が離れるほど減少するので、生活の場や仕事場が送電線から離れていればそれほど心配する必要もないでしょう。いずれにしても、中国電力に対して各家庭への影響予測の説明や運用開始後の測定などを求めることをお勧めします。


議員報酬会計報告(2001年7月〜9月)

(収   入)                            
前月からの繰り越し 286,495
議 員  報  酬  1.500.000
 (50万円×3カ月)      
−−−−−−−−−−−−−
 合       計  1.786.495


 (支   出) 
議員共済掛金  165.000
所  得  税    67.890
国  保  料   148.000
慶弔会費(議会)    3.000
中 川 生活費  840.000
(28万円×3カ月)    
通  信  費  108.340
資  料  代     15.006
活  動  費  178.350
印  刷  費   64.050
次月繰り越し  196.859
−−−−−−−−−−−
 合   計  1.786.495

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