市議会かわらばん第65号(2005年8月)

新米子市が発足(331日)してから4ヶ月が経ちました。合併直前の旧米子市3月定例議会、合併直後に開催された臨時議会(415日)、417日〜23日の市長選挙、市長選挙後の517日〜19日に開催された臨時議会、そして、627日から722日まで続いた6月定例議会と、実に慌ただしい日々でした。3月議会報告が発行できず、申し訳ありませんでした。限られた紙面ですが、3月議会も含めてできるだけ報告をしたいと思います。

 

 

4月臨時議会報告

新会派を結成しました

新米子市発足に伴う市長選挙で、野坂康夫前米子市長が当選しました。2年間の野坂市政の評価としては、「官僚体質が強く、米子市に元気がない」「何をやりたいのかわからない」など、市民の間からもかなり強い批判がありました。市民感覚を持った市長をつくるために、対抗馬擁立に向けて努力しましたが、実現できませんでした。4年後に期したいと思っています。

何人かの方から市議選はないのかとの問い合わせがありましたが、市議会議員は在任特例により、1年3ヶ月間任期が延長されて来年6月が選挙です。 

新米子市議会になり会派の構成が注目されました。旧淀江町議会は一部の議員が旧米子市議会の会派に入りましたが、大きくふたつの会派に分かれました。その結果、新米子市議会は「しんせい(11人)」「新風(7人)」「よどえ(7人)」「れいめい(6人)」「共産党(5人)」「未来(5人)」「公明党(4人)」の7会派と無所属2人になりました。「よどえ」と「れいめい」が旧淀江町議員の会派です。

私は、八幡美博・門脇邦子・森雅樹・伊藤ひろえ議員と5人で、会派「未来」を結成しました。情報公開の徹底、市民との協働による市政推進、開かれた議会の実現などが「未来」の方針です。議案についての賛否判断は個々の意思を尊重し、会派拘束はしません。かなり考え方が近い議員集団なので、心強く活動できそうです。

なお、臨時議会では正副議長や委員会構成などが決まりました。私の委員会所属は次のとおりですー民生環境常任委員会、議会運営委員会、中海問題等調査特別委員会(委員長)

 

 

5月臨時議会報告 

特別参与設置条例に反対。1票差で可決!

新市発足当初から必要な203件の条例の専決処分の承認、新市の本格予算策定までの4〜7月の4ヶ月間の暫定予算などが主な議案でしたが、「米子市特別参与設置条例」が直前に提案され、大きな議論になりました。

条例の内容は旧淀江町長を特別参与として任命するものですが、数多くの問題があります。
 第一に、特別参与の職務が不明確だということです。当初説明では、淀江町区域における市政の執行についての調整及び意見具申という職務でしたが、その後、市政運営にかかわる政策判断についての助言及び意見具申に変わりました。
 第二に、特別参与の報酬が異常に高いという点です。週3日の勤務で月額34万6500円です。同様な趣旨で設置された南部町の月額3万円、鳥取市の日額5000円と比較しても異様な額です。合併と、その後の市長選挙への協力に対する「論功行賞」といわれても仕方がありません。

 第三に、合併協議会では、旧淀江町住民の合併に対する不安を受けて、地域審議会設置と議員の在任特例が決まりましたが、特別参与については全く議論されてないという点です。今回の議案提案は余りにも唐突でした。

特別参与設置が本当に必要であれば、報酬の額も含めてきちんと議論すべきであるとして、「未来」としてはこの議案に反対しました。本会議での採決は、わずか一票差で可決されるというきわどい結果でした。

 

 

3月議会(3月2日〜17日)報告

各個質問の要約

1,イズミ米子店進出計画

ゆめタウンの計画店舗面積は、高島屋、天満屋、駅前サティの合計店舗面積に匹敵し、既存の大型店も太刀打ちできなくて、撤退するのではないかと危惧されています。米子の重要な場所がゴーストタウンのようになれば、米子は完全に衰退します。イズミ出店が中心部や駅前の大型店に及ぼす影響とまちづくりへの影響をどのように考えているか、質問しました。

市長は、「新たな大規模店舗の進出で当然影響があると考えるが、現段階では不確定要素が多いため、影響を推測することは困難」と、またしても逃げの答弁でした。

 

2,指定管理者制度

公共施設は、あくまでも市民の福祉の増進を図ることを目的とする施設です。どの施設を指定管理者に管理させることが適切なのか、各施設をどんなサービス内容で、どこまで管理させるのか、管理料はどれくらいが適当なのかなど、市の内部だけで決めるのではなく、最初からオープンにして市民参加で議論すべきです。市長の見解を求めました。

市長は、「検討状況を公表し、市民、民間事業者からご意見を頂き、それを参考にしながら各施設の開館時間などの管理基準の設定、指定管理者が行うことが適当と思われる業務の内容の精査などを行う」と答えました。

 

3,中海問題

昨年末、鳥取・島根両県知事が、森山堤防だけを50m開削し、大海崎堤防は開削しないということで合意しました。市長に、この両県知事合意をどのように考えているのか尋ねました。

また、米子市は、森山・大海崎両堤防開削を条件に大橋川拡幅の測量調査に同意したのであるから、知事合意内容では拡幅協議のテーブルに乗れないということを、県を通して国に伝えるように求めました。                                               

 市長は、あくまで両堤防開削を求める立場であると答弁しましたが、後者の件については、「時期を見て県に対して伝える」というばかりで、積極的発言は最後まで聞くことができませんでした。

 

公安条例廃止条例、否決

旧米子市にあった「示威行進及び集団示威運動に関する条例」(いわゆる「公安条例」)が、新市において暫定施行される事が判明しました。地方自治法では、「新市の条例・規則が制定されるまでの間の暫定措置として、新市の条例・規則として引き続き施行させる」と定めてあります。しかし、「米子市公安条例」は自治体警察が存在した時の条例が変則的に残ったもので、現在では警察行政は県の管轄であり、米子市に条例制定権限はありません。従って、暫定施行は地方自治法に反します。

「公安条例」は、思想・表現の自由を犯すとして、これまで全国各地で、違憲判決がたびたび出されています。手続き、内容とも違法性の強い「公安条例」を、廃止する条例が議員提案されましたが、残念ながら、賛成少数で否決されてしまいました。

 

6月議会報告(6月27日〜7月22日)

代表質問・関連質問の報告

議員は毎議会、各個質問で、市政の課題について質問や政策提言を行うことができます。新年度予算を審議する議会だけ、各会派(4人以上)は、市政全般について代表質問と関連質問を行います。「未来」としての重点政策は何かを話し合い、「市民との協働」、「教育」、「環境」、「男女共同参画」、「市役所改革」の5点に絞り、それぞれが分担して質問を行いました。

 

市民との協働

1、自治基本条例の制定

■問 自治基本条例、まちづくり条例を制定すべきである。

■市長 住民の意識の高揚、市民参画の気運が必要であると同時に、議会のかかわり等多くの課題があり、それらの基盤が十分に整ったことを見極めつつ、対応すべきものと考えている。

2、地域自治組織

    問 地方自治法改正により地域自治区が制度化され、幾つかの市で導入されている。旧淀江町長は、「地域自治組織を実現していく」と旧淀江町議会で答弁されている。まず、試験的に淀江地区をモデルとして定め、実践してはどうか。

■市長 地域を拠点とした自治組織については、各公民館に設置した公民館運営協議会が、主体的に各地域のまちづくりを検討されることを期待している。

  地域自治組織が旧淀江町で検討されたことは伺っている。淀江地区に限らず、それぞれの地区での住民の主体的な気運の醸成、活動の状況等を勘案しながら、今後の対応を考えたい。

3、総合計画の策定

■問 年度末までに策定するとのことだが、時間をかけて、市民主体で策定すべきではないか。

市長 総合計画の存在しない期間をできるだけ短く抑えるため、本年度内の策定を目指して努力したい。市民にも参画していただき策定するので、市民の意向をまったく無視したものになるとは思っていない。

 

教育

1、中学校給食

■問 中学校給食導入までのスケジュールを具体的に示されたい。

市長 財政健全化プランの進ちょく状況を勘案しながら、様々な角度から効率的で実現可能な方策を模索、検討していきたい

2、学校評議員制度

■問 導入4年目を迎えたが、成果をどのように分析し、今後どのように活かしていくのか。

教育長 保護者、地域住民等の意向を把握、反映することができやすくなり、また、学校経営の方針等を説明することで保護者、地域住民等に説明責任を果たしやすくなったと考えている。開かれた学校づくりを推進する観点から、この制度を今後より一層充実させていきたい。

3、教育行政

 旧淀江町の教育予算はどれくらい変わったか。

■教育長 市内の小中学校を平等に取り扱った結果、淀江小学校が28l、淀江中学校が26l、それぞれ昨年のレベルより低下すると思われる。

■問 低い教育予算の中、市民と課題を共有し、協働により、解決できることがあると思う。

■教育長 フォーラムの開催、PTAとの懇談会開催など、検討してみたい。

 

環境

1、環境基本計画

■問 環境基本計画の策定体制、スケジュールを伺う。

市長 財政状況を考慮しつつ、早急に環境基本計画策定に着手したいと考えている。策定体制とスケジュールは策定に着手する段階で、議会にも説明したい。

■問 数値目標を設定すべきであると思うがいかがか。

■市長 米子市環境審議会で意見をいただくこととなっているが、その場で審議会にも説明したいと考えている。

2、一般廃棄物処理基本計画

■問 1200万円でコンサルタント会社に策定を委託しようとしているが、市民の力を信頼してゼロから策定してもらえば、多額の予算がなくても策定できるし、参加した市民は実行者にもなれる。

■市長 ごみ問題は非常に専門的な分野が絡むため、しかるべきコンサルタントに委託する必要がある。立案過程で市民の意見を聞くことはもちろんである。

3、中海の再生・治水

■問 6月県議会で知事は、大橋川拡幅同意について、米子市、境港市とは協議し意見を斟酌するが、最終的には県で判断すると答弁している。知事に対して、あくまで同意事項とするように求めるべきではないか。

■市長 この問題に関しては、知事は地元の同意の上で進めるべきであると考えるので、知事には米子市と同意の上、対処して欲しい旨申し上げたい。

 

男女共同参画

1、4・6ルール

■問 各種審議会における4・6ルール(委員の男女のいずれか一方の比率が40l以上60l以下となるよう定めたルールの略称)の達成状況は。

市長 平成17年6月1日現在で設置されている審議会は22あり、そのうち、達成されているのが4つである。女性就任率が30l以上となっている審議会はこれ以外に7つある。今後も、審議会の所管部署に対して、4・6ルールをより一層徹底するよう図っていきたい。

2、管理職への女性の登用

■問 管理職への女性の登用状況をうかがう。

■市長 保育園長を除く管理職85人のうち、女性は6人である。また、保育園長を除く係長級の職員は108人で、そのうち、女性は16人である。

3、教育現場の取り組み

■問 教育現場における男女共同参画推進の取り組みを伺う。

■教育長 男女混合名簿の導入、男女の区別のないグループ学習形態の採用及び人権・同和教育資料集「あおぞら」にある男女共同参画社会の実現に向けての授業の実施など、男女共同参画推進計画に基づいて、様々な取り組みが行われている。

 

市役所改革

1、予算編成に当たっての考え

■問 市長の公約を予算の中にどのように反映させたのか。

市長 公約である「活力みなぎる米子市」には、淀江地区CATV施設整備事業などを、「子育てを応援し、お年寄りが元気な米子市」には、保育料軽減事業などを、「ゆとりある心豊かな米子市」には、伯耆の国よなご文化創造計画策定などを予算計上した。「みんなのための市役所」では、市民参画推進計画の策定に着手したほか、民間委託の検討を含む財政健全化プランを策定した。

2、指定管理者制度

■問 3月議会市長答弁の「指定管理者制度の適用等の検討に当たっては、検討状況を公表し、市民、民間事業者からの意見を参考にする」に対応できていない状況で、導入スケジュールを変更する考えはないか。

市長 3月議会の答弁に対し不十分な対応となったことは、深く反省をしている。スケジュールは、作業期間等を総合的に考慮した最善のものと考えている。

 

指定管理者制度、今議会での議決に反対しました

 美術館、福祉保健総合センター、水鳥公園、市民球場など、46施設(都市公園は全体で1施設)に指定管理者制度を導入するための関連条例が提案されました。

「未来」として、@検討プロセスで十分な情報公開、説明責任が果たされておらず、市民の意見が反映されていない、A公の施設の管理にNPOや住民団体の参入機会を保障し、市民との協働の市政を推進するという視点がない、B管理を委託してきた外郭団体職員の処遇をどうするのかの検討が不十分、などの理由から、市長に対して提案を見送るように事前に申し入れました。また、各委員会では内容が不十分なので継続審議にすることを提案しました。しかし、多くの議員から批判が出ていたにもかかわらず、各委員会では、「未来」と共産党以外の賛成多数で原案のとおり可決されました。そこで、本会議では、原案可決に反対しました。

来年4月に、多くの公共施設が民営化されることになりましたが、市民サービスが低下しないよう、今後も監視を続けます。

 

ゴルフ場特別委員会設置

広大な市有地の有効利用策は?

 米子ゴルフ場(約45万u)は、1977年に民間ゴルフ会社に売却される計画でした。しかし、貴重な市有地を守れという市民運動の声に押され、米子市がゴルフ会社を相手に土地明け渡し訴訟を行い、1981年に米子市に返還されました。返還後、土地の利用計画が決まるまでの間は、暫定的に市が出資する公益法人にパブリックゴルフ場として経営させるという和解条件に従い、?米子市福祉事業団が経営を行ってきました。   

一時期は経営が順調でしたが、バブル崩壊後は悪化し、このままだと、28年後には21億円の資金不足を生じるとの経営診断が出されています。 ?米子市福祉事業団は来年3月末でゴルフ場事業から撤退することを決め、これを受けて市長は、新たにゴルフ場経営を行う民間事業者を選定し、来年4月1日から経営移管を行う方針を表明しました。

しかし、議会としては、民間への経営移管も含めて、土地利用計画について市民の意見を求める必要があるということで、今議会最終日にゴルフ場特別委員会を設置しました。市長は9月議会に民間業者に土地を賃貸する議案を提出する予定なので、余り時間がありませんが、ゴルフ場用地をどう利用すべきか、みなさんの意見をお聞かせ下さい。

 

財政健全化プラン示される

 三位一体改革は、「明治以来の中央集権システムを地方分権型システムに変える」改革であるといわれています。しかし、昨年度の地方交付税大幅削減に見られるように、国の財政赤字解消が優先され、地方は悲鳴を上げています。米子市の財政推計によると、2005年度から5年間で約45億円の赤字が見込まれています。

それに対して、毎年約9億円の赤字縮減のための「財政健全化プラン」が、6月に発表されました。 財政健全化のための4つの基本方針が掲げられ、それぞれ具体的課題の検討方向とスケジュールが示されています。主な内容は、

@業務の見直しによる新時代の新たな行政サービスの提供

 *業務の民間委託   *職員削減   *外郭団体の統廃合   *指定管理者制度導入

A財政の構造改革

 *職員等の給与カット   *補助金等の見直し   *公共料金値上げ

B意識改革

 *年功重視から能力重視へ

C行政の透明性の向上

 *予算編成過程の公開   *情報提供の強化と市民参画の推進

  公立保育園や学校給食の民間委託、公共料金の値上げなど、市民生活に直接影響する問題や、情報公開や市民参画などの今後の市政のあり方に関わる重要課題など、とても大切な内容を含んだ計画です。この「財政健全化プラン」を多くの方に知っていただくために、米子市の担当者を招いて出前説明会を開催します。ぜひ、お出かけ下さい。

市政勉強会

「米子市財政健全化プラン」

 

と き:9月6日(火)午後7時〜8時30分

ところ:米子市公会堂一階会議室

説明:米子市の担当者