2003年12月議会報告

中川健作の各個質問

定例市議会は年に4回開かれます。市民のための政策実現に向けて当局と議論したり、 市政をチェックするための重要な場です。私は、4期16年間、一度も欠かさずに発言を続けてきました。今回は、4つの問題を取り上げました。

中海・宍道湖淡水化事業、中止決定!

昨年末、両県知事が淡水化中止を正式に表明し、中海・宍道湖干拓淡水化事業は、事業 開始から40年を経て終止符を打つことになりました。約20年に及ぶ鳥取・島根両県の住民運動が、国の大型公共事業を遂にストップさせたことに対して、当初から関わった者 として、大きな喜びを感じています。
これからの課題は、堤防開削などによって中海・宍道湖の環境を改善し、かってのように魚介類が豊富な、泳げる湖を取りもどすことです。しかし、残念なことに、農水省も島根県も開削による水質改善効果を認めようとせず、開削に否定的です。
12月議会の中海問題調査特別委員会で、米子市議会として国に対して開削を働きかけ ることを提案し、議長や特別委員長が年明けに上京して申し入れることが決まりました。 本会議では市長に対して、米子市が専門機関に委託して堤防開削効果を科学的に明らか にするためのシミュレーション調査を行い、島根県や国に堤防開削を強く迫る必要がある ことを訴えました。
「シュミレーションを現時点では米子市単独で行うことは考えていない。水質改善につ いては、干拓堤防を開削することが絶対に必要である。中海協議会の場で堤防開削を働き かけるように、鳥取県知事に要請したい」という市長答弁でした。
堤防開削が一年遅れれば、環境回復が数年遅れることになります。淡水化中止で安心す ることなく、中海を守る運動を一層強化する必要があります。

市町村合併より、広域連携を

合併の枠組をめぐって、動きが慌ただしくなってきました。政府や自民党は、小規模自治体は権限を縮小すると脅し、何がなんでも合併を押しつけようとしています。地域の歴 史や文化、町村が果たしてきた役割などを無視した、経済効率一辺倒の誤った政策だと言 わざるを得ません。
合併でなくても、市町村の広域連携によって効率性や能力を高めることはできるはずで す。今後、鳥取県西部がどのような枠組になろうとも、米子市と合併しなかった市町村の ことは知らないというのではなく、これまで以上に各自治体間の連携を強め、支え合うこ とが必要と考えます。
市長に見解を尋ねました。 「米子市と合併しなかったからもう関係ないということはない。人口が増大する可能性が高い松江市や鳥取市との都市間競争に生き残るためにも、これまで以上に強力な連係が 必要になってくるものと強く認識している」という市長答弁でした。
この広域連携のことで、西部市町村の信頼関係を壊すような重要な問題が生じています 。米子市との合併を望む会見町民による署名呼びかけ文に、「周辺が米子市と合併しない なら、西部広域行政の見直しという声も出ている」という表現があります。すなわち、米 子市と合併しないと、今までのような広域での助け合いがなくなると住民に不安感をあお っているのです。
市長に確認したら、「西部広域行政の中でそのような話は全くない」ということでした 。問題なのは、このようないい加減な署名活動に米子市収入役が係わっているということ です。収入役は会見町の住民ですが、米子市の三役という要職にある身です。米子市の意 向を受けて動いていると見られても仕方がありません。こんなことで、市町村間の不信感 が増すようなことのないように、慎重な配慮を求めました。

城山にロープウエイは必要か?

12月議会に、米子城址への自動昇降装置の設置を求める陳情が提出されました。城山を観光資源にしたいというのが主目的のようです。
市長は9月議会で、「積極的な方向で考えたい」と発言していますが、自動昇降装置は どこも赤字で次々に廃止している状況です。私が調べた中国地方でも、ロープウエイは鳥 取市や岡山県湯原町で廃止、防府市も近々廃止、下関市も廃止検討中。美保関町や津和野 町のリフトも存続が危ぶまれているということでした。大金をかけて設置しても結局赤字 が膨らみ、残骸だけが残るという状況になる可能性が大です。
米子城跡は市の史跡に指定されており、自動昇降装置建設で貴重な文化財が損なわれる おそれがあります。
また、米子市文化財保護審議会委員の棚田耕吉先生によれば、城山で 樹木121種、草木236種、シダ植物47種の合計404種が確認されており 、各地で失われつつある植物の自生も見られ、シダ植物には注目すべき希少種も少なくな いということです。
さらに、野鳥の会鳥取県支部によれば、絶滅危惧種のオオタカやハヤブサ、準絶滅危惧 種のハイタカやフクロウなどが城山をエサ場とし、全体では60種類もの野鳥が観察でき る、野鳥の宝庫だということです。
仮に、市長が赤字になっても自動昇降装置を設置すると判断しても、文化財や貴重な自然環境を破壊することは許されません。その場合には、慎重な環境アセスを行うように求 めました。

進まない旧加茂川の整備 紺屋町再開発事業もネック

旧加茂川は米子の顔です。この旧加茂川と川沿いの街並みを整備するために、平成12年に、「自然や水環境、生態系や生物多様性、景観や歴史風土の保全につとめる」という 方針の川づくり構想が、住民参画によってまとめられました。そして、この構想に基づい て、16年度に住民参画による整備計画を策定し、県が事業に着手することになっていま した。
しかし、整備計画づくりは進んでいません。もっと頻繁に会を開催して、住民の熱意を 活かしながら川づくりを進めるように求めました。
また、旧加茂川の川づくりに大きく影響しているのが、紺屋町再開発事業です。1988年から計画され、14年の歳月と、6000万円以上の経費を投じながら全く進んでいませ ん。その影響で、本通りの下水道整備が遅れ、旧加茂川の水質に悪影響を与えています。 中心市街地活性化の面からも、これ以上、再開発事業計画をズルズルと引き伸ばすこと は許されません。白紙にもどし、まちづくりのための別の方法を住民参加で再検討すべ 時期にきています。
今年度中にも結論を出すように、市長に求めました。 「再開発事業推進は厳しい状況にあると認識している。早急に協議をして結論を出したい 」という答弁でした。


二○○一年度決算審査 米子市政、ここが問題!

9月議会から12月議会まで、2001年度決算審査特別委員会が設置されました。決算審査は、市政の全分野にわたってムダ遣いや政策のチェックができる機会です。私も委員に 入り、現在の米子市政の主要な課題だと考える33項目について当局と議論し、改善な どを求めました。主なものについて、報告します。

女性管理職の積極的登用を
Q=○一年度の女性管理職の割合は、課長以上で四・二%と低い。今後の取り組みは?
A=今まで取組が弱かった。企画力研修に積極的に参加させるなどして、増やしたい。

退職職員の天下りをやめよ
Q=○一年度退職職員のうち七名が外郭団体に、四名が民間団体に天下りしている。何故 、改善されないのか。
A=順次やめたいが、市との連携を図るためOBを派遣して欲しいとの要望がある。

非常勤職員の雇用条件改善を
Q=非常勤職員は専門的能力を有していても、雇用期間は最長十年である。また、正職員 の時間労働単価が平均三千六百九円なのに対して、低い職種は九百五十九円である。
A=必要な職種については雇用期間を検討したい。労働単価の低い職種は他とのバランス を取るように調整したい。

審議会委員の構成
Q=審議会の女性委員の割合は?ひとりで九つも委員を重複している人もいる。
A=女性割合は十八・三%。重複は団体代表なので、できるだけ他のメンバーを出しても らうように依頼している。

住民基本台帳の閲覧規制を
Q=○一年度に住民基本台帳の閲覧が七十六件あるが、名簿の売買などに使われるおそれ がある。
A=今後は、一件あたりの閲覧手数料を高くしたり、一回の閲覧件数を百人までにするな ど一定の制限を加えたい。

リサイクル推進協力員制度
Q=制度が始まって六年。漫然と続けるのは無理になりつつある。
A=全自治会にアンケートを行い、新年度からの方針を考えたい。

公立保育園の特別保育充実を
Q=一時保育、休日保育などは私立保育園に多くを頼っているが、不足している。公立保 育園がもっと取り組みを。
A=関係者と協議し、実態を把握し、対策を検討したい。

崎津工業団地の利用計画
Q=売れ残っている二十ヘクタールが大きな財政負担になっている。利用計画は?
A=企業による一括購入は考えにくいので、ブロック化、借地制度、売地の値引きなどを 考えている。

富士通公害防止協定改定を
Q=事業者に化学物質の環境への排出量などの報告を義務付ける法律が作られた。富士通 の公害防止協定も改定を。
A=状況が変わってきた。企業にも相談してみたい。

荒廃耕作地の解消を
Q=弓浜部の農地荒廃が目につく。市民農園や新規就農者への農地斡旋、花づくり等、荒 廃農地対策を。
A=検討が必要と思う。

学校図書館の充実を
Q=ソ連やセイロンなど、古い記述の百科事典があり、問題。また、調べ学習などで学校 図書館の役割が増し、図書職員の勤務時間増が必要。 A=図書予算は他市より多いが、今後も努力する。勤務時間はできれば延ばしたいが、採 用条件に係わるので、職員の意向を調査したい。

学校給食に地元農産物を
Q=○一年度の学校給食での地元農産物の使用は、十九%にしか過ぎない。
A=生産者と連係して、地元農産物の使用を増やしたい。

遺伝子組替食品の学校給食での使用中止を
Q=豆腐、味噌、油、醤油などはほとんどが輸入大豆原料で、遺伝子組替が使われている 割合が高い。国産大豆を。
A=輸入大豆でも遺伝子組替でないものを使用している。ただし、油原料は一部混入して いる恐れがある。

公共施設使用は公平に
Q=公会堂の一部は中央公民館なので無料だが、ほとんど知られてないため、特定の団体 だけ恩恵を受けている。また、地区公民館は空いていても地区外の者は使いにくい。
A=知らずに使用料を払った人には申し訳ない。PR不足だった。地区公民館は地区活動 優先だが、空いていれば利用できるようにしたい。

下水道一辺倒の見直しを
Q=四十年の歳月と千四百四十一億円の金を使いながら、下水道普及率は四十一%に過ぎ ない。まだ莫大な金と年月がかかる。単純に見積れば、合併浄化槽方式に変えればわずか 二百九十億円で、しかも七年で百%完成する。排水処理の担当課を一本化し、総合的に再 検討すべき。 A=平成十六年度から担当課を一本化し、検討したい。

談合防止対策強化を
Q=○一年度の建設部工事の平均落札率は九七・九%で、依然高い。現場説明会を廃止し て業者どうしの接点をなくす、談合情報があった場合は抽選で再入札するなど、防止対策 強化を。
A=現場説明会の廃止を含めて、勉強したい。

駅前地下駐車場の経営改善を
Q=利用が少ないために、毎年市の財政から一億三千万円を持ち出して借金返済している 。すぐ近くに立体駐車場を借り、無料解放しているから利用が増えない。有料化を。
A=立体駐車場の有料化を検討中である。

障害者住宅の増設を
Q=障害者住宅が足りない。県と同じように、既設住宅の一階部分が空いたら障害者用に 改造して対応すべき。
A=スロープや駐車場の敷地が必要なので、可能かどうか入居者と相談しながら対応した い。

道路計画の見直しを
Q=何十年も前に計画されながらほとんど手付かずの道路計画がいくつもある。もう道路 をいくつもつくる時代ではない。費用対効果、住民意向調査等の再評価を行い、計画全体 の見直しを。
A=意見を参考に、十分検討する。

景観条例の見直しを
Q=市民の共有財産である城山のそばに高層マンションが建設され、景観が悪くなってい る。指導もできないような景観形成基準は見直すべき。 A=基準の見直しは必要と考える。

崎津住宅団地公園は凍結を
Q=地震時の液状化で販売のメドが立っていないのに、「県との約束」で市が三億円も使 って公園整備を続けている。来年の工事をストップして、県と再協議すべき。
A=来年の工事はストップして、県が住宅を見直すなら補償を求めないといけない。