市議会かわらばん第51号(2001年8月)

月議会質問

・大橋川拡幅工事、代替案を含めた環境アセスを

6月12日に片山知事は、工事着手までに淡水化中止と堤防開削の方針が確定している こと、環境アセスを実施することなどを条件に、大橋川の測量調査に同意しました。
大橋川拡幅によって中海の水量が増大し災害が起きる恐れがあるとして、米子市議会は19 82年に反対を決議しています。この決議は今も生きており、なし崩し的に事業が進まな いようにする責任が議会と市当局にあります。
アセスメントをやった上で改めて工事の是非について協議すると知事は言っていますが 、どういうアセスを行うのかが大変重要になります。生態系への影響はもちろんですが、 拡幅による潮流の変化や水位上昇予測など災害面に対する十分な調査が必要です。さらに 、アセスのやり方も、情報を随時公開して代替案や評価項目などについて、公開の場での 国土交通省と住民の意見交換が必要です。
市長に対して、アセスの結果鳥取県側に災害が発生する恐れが否定できない場合、大橋 川拡幅に断固反対するのか決意を尋ねました。市長は、「当然、反対する」と答えました 。
アセスについても住民と十分に意見交換するよう国土交通省に申し入れるということで したが、代替案の検討については、「拡幅のための調査だから…」と、残念ながら代替案 の検討を求めるという答弁はありませんでした。
大橋川拡幅計画は、斐伊川治水計画のひとつとして25年も前に立てられた計画です。 コンクリートで無理やり洪水を防ぐという今までの治水のやり方は見直されつつあります 。緑のダムや遊水池など、自然の治水力も利用したあり方を総合的に再検討する必要があ ります。

・学校図書館の充実を求めました

米子市は7月に文部科学省の学校図書館資源共有型モデル事業の指定を受けました。「 学校図書館の蔵書情報をデータベース化し、学校図書館等をネットワーク化して蔵書等の 共同利用化を図る」という事業です。自ら学び自ら考える力を育む上で学校図書館の役割 は重要で、これを機に一層の充実が求められます。
そのためにも重要なのは学校図書司書の役割です。この事業を受けることで、データベ ース化のための専門的知識や公共図書館とのやりとりなど、一層の専門性が必要になりま す。今後は学校図書館に司書資格をもった専門職員を採用することを求めました。
また、県は現在司書教諭の全校配置を進めていますが、米子市は学校図書司書採用に当 たって「専任の司書教諭が配置されるまでの期間」と雇用条件をつけています。しかし、 国も県も司書教諭と司書職員の両方が必要であると言っています。学校図書館の役割を考 えれば当然です。この点についても、教育長の見解を問いました。
教育長の答弁は、「今後、司書資格をもった人を確実に採用できるかどうかも含めて検 討したい」「両方必要という認識はしているが本来なら国・県が配置すべきもの。専任司 書教諭が配置されたらその時点で考えたい」というものでした。
また、学校図書館等のネットワーク化により、こどもや教師による活用が飛躍的に増え ることが予想されます。いまでも一日5時間の勤務では対応できずに、サービス残業をし ている状況があります。司書職員の勤務体制の見直しも求めました。
なお、学校図書館に いくら沢山の本があっても、地図や辞書などは古いものでは役に立ちません。全国学校図 書館協議会の図書廃棄基準に基づいて、適正な廃棄を行うよう求めました。これについて は、「校長会で廃棄基準を参考にして廃棄するように話した」ということでした。

・職員制度のあり方について取り上げました

@リストラ時代に公務員だけが定年後も安定雇用?

今年度から厚生年金の支給開始年齢が65才に向けて段階的に引き上げられることに対 応して、退職した地方公務員の再任用制度が各自治体で条例化されています。年金が満額 もらえるようになるまで定年後も引き続き働くことができるという制度で、米子市は9月 議会に条例を上程する予定です。
定年延長には賛成ですが、この再任用制度にはいろいろ 問題があります。 国の示した再任用の支給月額は15万3400円から46万8400 円まで。その上に、期末・勤勉・通勤などの諸手当もあります。しかも年金支給年齢が引 き上げられるといっても比例報酬分は60才から支給されます。米子市職員の場合、平均 で月額約23万円になるそうです。
一方で、米子公共職業安定所によると今年4月の60 〜64才の求職者736人に対して、求人はわずか44人だそうです。民間の厳しい状況 に比べて、公務員は余りに優遇されているとの批判が起こりそうです。
任用形態をどうするのか、支給額をどの程度にするのかなど、まだ検討中であるとのこ とでした。十分に情報を公開し、市民の納得できる制度にするように求めました。

A今年も「天下り」をやめず

昨年度の退職者で、市の外郭団体や市が補助金などを支出している団体への天下りの実 態は別表のとおりです。 外郭団体の管理職に天下ることは、その団体の職員の昇級の道を閉ざし、職員の意欲を 損います。また、補助金などの支出団体への再就職は公正な市政運営という点で問題です 。
両方ともやめるように求めましたが、市長は「能力を買われて再就職したのであり、疑 惑を持たれないようにしている」として、天下りを見直す考えはないようです。しかし、 天下り先に市の情報が早く流れるなど、弊害は実際に出ています。これからも見直しを求 めていきます。+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
| 職 名                  天下り先団体名・役職名 |+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|下水道部長        |米子市土地開発公社 事務局長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|議会事務局長       |米子市社会福祉協議会 事務局長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|総務部長         |米子市生活環境公社 事務局長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|経済部次長兼農政課長|米子市福祉会 心身障害者福祉センター所長| +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|建設部長         |米子市福祉事業団 米子ゴルフ場支配人 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|農業委員会事務局長  |米子市教育文化事業団 文化ホール副館長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|教育委員会庶務課長  |とっとりコンベンションビューロー事務局長| +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|福祉保健部長       |もみの木園 園長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|自治振興課長       |なんぶ幸朋苑 苑長 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|会計課長          |ゆりかご保育園 監事 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

B臨時・非常勤職員の待遇改善を

米子市では現在、臨時職員が約170人、非常勤嘱託職員が約150人働いてます。短 期毎の契約更新、低い労働単価、各種社会保険の不適応など、正職員と同じように市民の ための仕事をしながら、労働条件に大きな格差があります。
正職員の人件費平均単価は一 時間当り3,609円になりますが、臨時職員は1,015円、非常勤嘱託の保育士は 1,336円、学校図書館職員は959円などです。残業手当もありません。特に専門職 的な非常勤嘱託職員の場合、正職員と変わらない責任と仕事内容であり、現状の待遇は改 善すべきです。
「時間外手当の支給など、雇用条件の見直しを検討したい」という答弁で した。

審議会などの公開と委員の公募制度が実現

議員になってから14年間主張し続けたことが、今年の4月から実現しました。審議会 や検討委員会の公開と、委員の公募制度、審議会等に議員や職員は参加しない、というこ とです。
これまで、重要な施策を検討するための市長の諮問機関は自治連合会代表など特定のメ ンバーばかりで構成され、ほとんどの場合市の提案を追認するだけの場でした。会議も非 公開でした。
最近は、総合計画審議会、市民憲章策定委員会、男女共同参画推進計画策定 委員会、バスのあり方を考える会などの委員が公募され、これらを含め、総ての会議が公 開されています。 ぼくもできる限り傍聴していますが、残念なことに、ほとんど傍聴者がいません。また 、委員の応募も一部を除いたら数が少ないようです。 これからは市民ができる限り市政に参加することが大切です。せっかく実現した制度 を後退させないためにも、傍聴や委員への応募をお願いします。

まちづくりにあなたも提案をしてみませんか

「米子市総合計画」というのをご存じですか。 法律によって、市町村はその地域の総合的・計画的行政を運営するための基本構想をつ くり、議会で議決しなければいけません。米子市では5年毎に総合計画をつくってまちづ くりを進めてきました。今、第6次の計画が終了し、今年度中に第7次の計画をつくる作 業をしています。
これまでは、一部の人が非公開の場で作成していましたが、第7次計画は5人の委員を 公募し、会議も公開して作業をしています。今後は一般市民の提案も募る予定です。
「米子市を美しい町にしよう。そのためにデポジット制度を導入しよう」「車をなるべ く減らそう。そのために自転車で市内どこにも行けるように自転車専用道路を整備しよう 」など、米子市をこんなまちにしたいという提案を、あなたもしてみませんか。 (米子市政研究会では、市民の提案をまとめる作業をしています。)

歴史歪曲の教科書、鳥取県内での採用はなし

日本の侵略戦争を美化するような教科書が、多くの学者の批判にもかかわらず文部省の 検定を通過しました。韓国や中国などから強い批判が起き、この教科書を採択しないよう にという良識ある運動も各地に生まれました。
鳥取県は、東・中・西部の3地区に分けてそれぞれの地域内の小中学校で同じ教科書を 一括採用しています。西部地区の教科書採択協議会は、14市町村の教育委員会代表と学 校・PTA代表の18名で構成され、その結論をそれぞれの市町村教育委員会で審議して 教科書を決めます。
7月25日に開催された米子市教育委員会を傍聴しました。中学校歴史は、心配してい た扶桑社ではなく帝国書院の教科書に、中学校公民も、扶桑社ではなく東京書籍の教科書 に決まり、ほっとしました。採択協議会の場で扶桑社の教科書を推す意見はなかったとい うことでした。

3月議会質問

・予算編成過程の透明化を

(Q)政策形成に市民の意思を反映させるために、これからは予算編成時期からの情報公 開と市民への説明が必要。限られたお金をやりくりするためにも市民的合意は欠かせず、 予算編成過程の透明化が求められている。
(市長)利害関係が生じるので、途中で公開すると混乱する。機会あるごとに議会・市民 の意見は聞く。
(コメント)駅前の“米”のモニュメントのように市民の知らないところでムダなものが 作られている。議員にも議会直前にしか情報が明らかにされないので、チェックが十分に できない。三重県などは予算要求状況や査定の結果を県民に公表している。

・子育て支援策の充実を

(Q)新たな児童育成計画を策定するための予算が計上されているが、当事者参加で策定 を。一時保育・3才未満時保育の枠が少なく利用できないとの苦情がある。山陰は雨や雪 が多い。子育て支援サークルの親子などが遊ぶための屋内施設設置を求める声が強い。子 育て中の親が孤立しないために、いつでも子育て相談ができる総合窓口が必要。
(市長)子育て支援サークルなど実際に子育てに関わっている人を交えて策定する。一時 保育は枠が少なかったが、新年度から新法人にやってもらう。3才未満時保育も4月から 2園増える。屋内施設については、市の施設で使えるものがないかどうか検討してできれ ばつくりたい。総合窓口については、現在のところは常時開設する考えはない。

・シックハウス症候群対策を

(Q)新築住宅や学校の室内空気汚染による健康障害が問題になっている。シックハウス 症候群と呼ばれ、建材や塗料・接着剤に含まれる揮発性有機化合物などが原因。 化学物質の影響を受けやすい子供たちが過ごす学校などの施設や公営住宅など、市の建 設する施設全てに対してシックハウス症候群対策を講じることが必要。また、施設の使用 開始前に室内空気汚染濃度の測定実施を。
(市長)平成11年度の市営住宅立て替え工事からホルムアルデヒドの少ないものを使っ ている。今後もいま以上に少ない建材を使用していきたい。測定については担当者とすぐ に相談して検討したい。
(教育長)今年度の伯仙小学校体育館から対応している。

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